ニュース 金融 作成日:2014年1月16日_記事番号:T00048158
中央銀行(中銀)の15日発表によると、昨年12月末時点の外国為替取扱指定銀行(DBU)とオフショア銀行部門(OBU)を合わせた人民元の預金残高が1,826億人民元(約3兆2,000億円)に達し、過去最高を更新した。昨年2月に台湾で人民元業務が開放されて以来、右肩上がりに増加している。政府は台湾を人民元のオフショアセンターとすることを目指しているが、訪台中の英金融街シティ・オブ・ロンドンのフィオナ・ウルフ・ロードメイヤー(市長)はその能力、条件いずれにも疑問の声を投げ掛けた。16日付工商時報などが報じた。
馬英九総統(右)を訪問したウルフ市長(左)。金管会や経済部も訪れて意見交換を行った(15日=中央社)
DBUの人民元預金残高は1,382億1,900万人民元で、12月まで3カ月連続で200億人民元以上の伸びを見せた。昨年2月末時点では96億3,000万人民元にすぎなかったが、わずか1年足らずで14倍に成長した。各行は当初より人民元建て定期預金の金利を台湾元建てよりも高く設定していることに加え、政府がさらなる金利引き上げを指導したことで1年物で3%以上の高利率に設定している銀行も少なくないことが人気を集めている理由だ。また、人民元の値上がり継続の期待感もある。
一方OBUの人民元預金残高は443億8,100万人民元と、2月末から2倍以上の成長を見せた。
「ロンドンより有利」=金管会主委
中銀は中台間の貿易決済での人民元利用促進を次の目標に掲げており、顧客に決済業務の香港から台湾への移転を勧めるよう銀行業界に指導している。ただ、中国に進出した企業によると、香港はほぼ24時間取引ができる一方、台湾は「9時から5時まで」で使い勝手が悪い。このため中銀は取引時間の段階的拡大を進める構えだ。
ウルフ市長は台湾が人民元オフショアセンターへと成長できるかについて、「商品とサービスが不足しており、能力、条件ともに劣っている」と述べ、困難との見方を示した。さらに、関連法規が厳しいため、商品1つ1つを念入りに審査、承認しており、効率が悪く発売時期を逃してしまうと指摘し、規制緩和が必要との見方も示した。
これに対し、金融監督管理委員会(金管会)の曽銘宗主任委員は、台湾は▽人民元預金残高の増加ペースが速く、規模が大きい▽対中貿易が黒字▽中国に近い──などロンドンより有利な点を挙げて反論した。また、金融自由化や開放レベルは徐々に拡大していると述べた。
英国はウルフ市長が台湾を批判した一方、先日はサジッド・ジャビッド財務担当次官が台湾との協力を示唆する発言を行っている。批判はロンドンが人民元オフショアセンターを目指す上で台湾をライバル視しているためだが、国際通貨ではない人民元は供給元が限られるため、協力発言も同時に行って台湾側の反応を見ているもようだ。
「台湾元の地位は揺るがず」
一方、台湾での人民元投資が熱を帯びるに従い、台湾元の地位が脅かされるとの懸念も浮上している。これについて中銀は、人民元両替は1日2万人民元までに制限されているなど他の通貨に比べ制限が多く、11月末の人民元預金残高の割合は台湾の総預金残高のわずか2.2%と香港の11.6%に比べ低く、今後人民元預金が増加を続けても台湾元の地位は揺るがないと指摘した。
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