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恒春半島にシカの楽園、保護実り2千頭に繁殖


ニュース 社会 作成日:2014年1月23日_記事番号:T00048273

恒春半島にシカの楽園、保護実り2千頭に繁殖

 台湾ではかつて至る所に野生のシカが生息していたそうだが、その皮を目当てに乱獲が行われたことから数が激減し、一時は絶滅が危ぶまれた。しかし、1984年に政府が墾丁国家公園(屏東県)を拠点として保護に取り組んだおかげで現在、最南端の恒春半島周辺には生息数が2,000頭を超える「シカの楽園」が出現している。

 体の側面に花のような白い斑点があることから中国語で「梅花鹿」と呼ばれる台湾原産のシカは、ニホンジカの亜種で日本では「タイワンジカ」や「ハナジカ」の名で知られる。

 この梅花鹿は200〜300年ほど前まで台湾の平野部や標高の低い山間部に広く生息していたそうで、「鹿港」(彰化県)、「鹿草」(嘉義県)、「鹿野」(台東県)といった地名にもその名残りを見出すことができる。

 しかしその後、鹿革が台湾の重要な輸出商品となるや、各地で乱獲が進み、74年には国際自然保護連合(IUCN)によって「世界で最も絶滅が危惧されるシカ」にリストアップされるまで数を減らした。

 台湾政府はこうした警告を受けても、対策を採らず事態を放置していたが、84年にようやく重い腰を上げ、墾丁国家公園に保護センターを設置した。そして86年に台北市立動物園が円山公園から文山区木柵に移転する際、種の回復用に22頭(雄5頭・雌17頭)の梅花鹿を選定。墾丁国家公園内の社頂公園に囲いを設置して放し、野性の回復を促した。

 この22頭の群れは10年をかけて徐々に規模を拡大したことから、保護センターでは野生に返すことを決め、94年から2009年にかけて同公園内の籠仔埔草原で14回にわたり233頭を放した。現在では恒春半島一帯に生息範囲が拡大している。

 なお社頂公園では観光客などが離れた場所からシカの生態を見られるよう観察用のデッキを設置しているが、昨年長栄航空(エバー航空)が公開し、話題を呼んだCMの中で人気俳優の金城武が奈良公園のシカに自分の手で餌をやるシーンが登場したことなどから、社頂公園でも餌やりができるようにしてほしいとの要望が上がっている。しかし、保護センターでは「奈良公園とは基本的な理念が異なる」として「餌やり開放は検討していない」とコメントした。