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5G発展戦略、韓国に大幅リード許す


ニュース 電子 作成日:2014年1月23日_記事番号:T00048298

5G発展戦略、韓国に大幅リード許す

 次なる第5世代移動通信規格(5G)の発展戦略を台湾、韓国の政府が22日発表し、投資額で3倍以上、特許件数で30倍以上の差を付けられていることが明らかとなった。台湾は4Gで当初WiMAXを中核に据えたが、世界の主流はLTEとなったため大きな商機を逃した。産業界や学者からは、これでは世界で戦えないと批判が相次いだ。23日付経済日報などが報じた。

 

 行政院は22日から3日間、5G導入に向けた発展戦略を話し合う5G発展産業策略会議を開催中で、産官学の150人以上が出席している。行政院は5Gの国際標準が2018~20年に定まるとして、今年を5G準備元年と位置付けている。

 行政院の張善政政務委員は今後6年で毎年20億台湾元、累計120億元(約420億円)以上を5G産業の支援に投じる計画だと説明した。

 5G対応携帯電話の半導体チップで世界2位以内、5G関連の知的財産権の市場シェア4%、小型基地局の市場シェア50%を目標に設定した。世界に出遅れ、今年やっとサービス開始予定の4GLTE免許の落札額のうち45億~60億元を4G、5Gサービス開発に充てる。

 一方、韓国は今後1兆6,000億ウォン(約1,560億円)を投じる。4Gで40秒かかる映画1本800メガバイト(MB)のダウンロードを1秒で可能にする1,000倍の伝送速度を想定。17年に5G試験サービスを、20年12月に商用サービスを開始する計画だ。20~26年の5G関連装置やインフラ設備の販売額は331兆ウォンと見込む。携帯電話だけでなく、通信インフラ設備の世界市場を開拓し、現在のシェア4.4%から20%への拡大を目指す。また、中国や欧米などの通信キャリアとの提携関係を強化し、5G国際標準を共同で制定することで、特許紛争を回避する考えだ。

 5G発展産業策略会議に出席した学者らは台湾政府の計画内容に対し、予算不足の他、半導体チップばかりに重点を置いており産業全体を見渡す構想がない、具体的に何をするのか分からないなどと不満を示した。

企業の資金も桁違い

 企業の投資でも韓国に大きく差を付けられている。行政院の資料によると、12年の研究開発(R&D)費は▽宏達国際電子(HTC)、5億2,000万万米ドル▽聯発科技(メディアテック)、4億4,000万米ドル▽鴻海精密工業、3億8,300万米ドル▽華碩電脳(ASUS)、2億9,000万米ドル▽宏碁(エイサー)、1億米ドル──。一方、韓国はサムスン電子1社だけで103億5,000万米ドルと、台湾5社合計の約6倍だ。

 特許など知的財産権の規模は韓国のLGエレクトロニクスが438件で世界首位だ。2位以下の▽マイクロソフト、305件▽ノキア、288件▽ブラックベリー、218件──に続くのはサムスンの203件。一方、台湾勢は▽メディアテック▽HTC▽エイサー▽工業技術研究院(工研院)▽資訊工業策進会(資策会)▽交通大学──を合わせて21件しかない。 

【表】