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出入り口のない家、救急隊が屋根伝いに救助


ニュース 社会 作成日:2014年1月24日_記事番号:T00048300

出入り口のない家、救急隊が屋根伝いに救助

 台中市の豊原消防分隊は22日、同市に住む女性、潘玉華さん(58)が心臓発作で倒れたとの通報を受け、現場に急行した。しかし自宅が一向に見つからなかったため近隣住民に尋ねたところ、潘さんの家は出入り口が目の前の家にふさがれ、たどりつく通路がないと判明。結局、救急隊員は隣の家の屋根伝いに2階から入り、1階で息も絶え絶えとなっていた女性を救出した。

 通報から病院に運ばれるまで2時間以上を要したものの、幸い一命を取り留めた潘さんによると、彼女は両親とともにこの家に40年以上住んでおり、以前は家の前にあった空き地から出入りしていたという。

 その空き地に4年前、新しく家が建てられたため、潘さん一家は出入りすることができなくなった。これに不満を持った彼女は建設会社を訴え、潘さんが新しい家を200万台湾元で買い取ることで和解した。

 その後、潘さんは建設会社が売却した住宅の面積を水増ししているとの疑念を抱き、購入代金の支払いを拒否。再び法廷で争った結果、彼女の敗訴が決まり、同住宅は「競売にかけるべき」との判決が下された。これを受けて鍵がかけられてしまったため、潘さん一家は出入りができなくなったというわけだ。

 問題の家を建てた建設会社は「裁判所の和解協議で当社が相場の約半額で通路側の家を売却し、潘さん一家も買い取ることに同意したにもかかわらず、頭金すら支払われなかった」と指摘。「彼らを閉じ込めようとは思っておらず、これまでも解決方法を考えてきた」と説明した。

 なお弁護士によると、台湾の民法では、出入口を封鎖された家の所有者は「通行権」を主張できる一方、対象となる土地の地主も相手側に補償金の支払いを要求することができ、その金額について合意が難しい場合は裁判所が設定することになるという。

 今回のトラブルについて、謝志忠・台中市議が「そもそもなぜ建築許可を出したのか」と指摘しているように、家が建てられる前に行政が問題に気付き、解決を図っていればこうしたトラブルが起きなかったに違いない。