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古雷ナフサプラント、石化7社の投資に認可


ニュース 石油・化学 作成日:2014年1月28日_記事番号:T00048385

古雷ナフサプラント、石化7社の投資に認可

 台湾石化大手7社による中国福建省・古雷半島でのナフサ分解プラント投資計画に対し、経済部投資審議委員会(投審会)が27日、条件付きで認可を下した。中国でのナフサプラント投資への認可は初めてで、投資額は2億6,362万米ドル。今後ナフサプラント投資は台湾ではなく、中国や米国など大市場を持つ海外で行う流れに道筋を付けた点で、台湾石化業界にとって転換点の意味を持つ。28日付経済日報などが報じた。

 7社は中国の中国石油化工集団(シノペック)などと、合弁会社「古雷聯合石油化工」を設立する。中国側も折半で2億6,362万米ドルを投資する。参加する台湾企業と投資額は、▽和桐化学(HT、約8,300万米ドル)▽李長栄化学工業(LCYケミカル、約5,200万米ドル)▽台湾聚合化学品(USI、4,900万米ドル)▽亜洲聚合(アジア・ポリマー、3,400万米ドル)▽盛台石油(1,500万米ドル)▽中華全球石油(1,450万米ドル)▽聯華実業(1,300万米ドル)──。なお、盛台石油と中華全球石油は和桐化学の傘下企業だ。

 古雷聯合石化のナフサプラントは中国での環境評価を経て、今年末から15年初旬にかけて着工できる見通しだ。完成後、初期段階ではエチレン年産120万トンの他、プロピレン、ブタジエンなど6品目の同367万2,500トンを見込む。

台湾需要に対応求める

 投審会は7社に対し、投資計画認可の条件として、▽台湾域内の川下メーカーの需要に対応すること▽域内では高付加価値製品の研究開発(R&D)、投資に注力すること──を提示。高付加価値製品への投資額は2015~18年で生産に168億台湾元(約570億円)、R&Dに84億元の合計252億元の他、台湾での人員削減を行わないなど、具体的な約束をさせた。また、特定製品で経営主導権を握っていることを証明する文書を1年以内に提出し、15~19年の毎年3月末に過去1年の経営状況を報告するよう指示した。

 同投資計画は和桐化学創業者でもある台湾区石油化学同業公会(石化公会)の陳武雄理事長の主導で11年に着手された。エチレンなど石化製品7品目が対中投資の禁止項目だったため、なかなか進展しなかったが、国光石化科技(KPTC)による彰化県でのナフサプラント計画が環境問題から頓挫したことに加え、台湾中油(CPC)の第5ナフサ分解プラント(高雄市楠梓区、通称五軽)が15年に閉鎖する予定であることや、川下メーカーのエチレン需要増大を受けて、政府が昨年9月に石化製品7品目の対中投資を解禁。これによりようやく前進を見た。

輸入依存度高まり弱体化

 ある石化メーカー関係者は、川上メーカーが地方住民の反対で生産規模縮小を迫られる中、川中、川下メーカーは中間原料の輸入依存度が高まり、韓国のように欧米などと自由貿易協定(FTA)を結んでいるわけでもないため、市場動向の影響を受けやすくなっているとの見方を示した。

 この解決策が海外に進出した川上メーカーによる台湾への中間原料供給で、石化公会は、今後20~30年は石化業界の大型投資は全て海外で行われると予測している。

【表】