ニュース 電子 作成日:2014年2月12日_記事番号:T00048578
パソコンブランド大手の華碩電脳(ASUS)が今年発売するスマートフォンの生産を中国の受託メーカーに委託するとの観測が浮上するなど、中国の電子機器受託メーカーが勢力を増し始めている。実力が向上し、低コストと中国市場を熟知する強みを持つ中国受託メーカーが台湾受託業界の脅威となる可能性は高い。12日付工商時報が報じた。
ASUSは沈振来執行長(CEO)が先日、今年下半期にスマートフォン5機種を発売する予定で、企業の実力とサプライチェーンの成熟度を評価して新モデルの生産を中国メーカーに委託する可能性があると明言していた。同社はすでに上海華勤通訊技術と接触を行っている。
宏碁(エイサー)も今年、アンドロイドOS(基本ソフト)搭載の地域限定版タブレットPCを、深圳市三諾電子に委託するとみられる。エイサーは一部のスマートフォンを上海希姆通信息技術(シムコム)に発注してきた実績を持つ。林顕郎・大中華区営運総部総経理は先日、中国・深圳のタブレットPCサプライチェーンについて、「成熟しており、不要な機能を切り捨ててコストを抑える能力に長けている」と実力を認め、ブランドメーカーが生き残るためには中国受託メーカーと組むことは避けて通れないとの認識を示していた。
スマートフォン大手の宏達国際電子(HTC)は、中国市場向けロー~ミドルエンド機種を龍旗および聞泰集団(ウイングテク)にそれぞれ委託すると伝えられている。
台湾ブランド以外でも昨年、ヒューレット・パッカード(HP)が99米ドルの低価格タブレットPCなどを比亜迪(BYD)に委託した。世界大手ブランドが中国受託メーカーに発注した初のケースとなり、業界を驚かせた。HPは今後深圳桑格尔科技(ネオストラ・テクノロジー)にも委託を拡大するもようだ。
低価格受注も避けず
台湾を代表するPC受託メーカーは、アップルからの受注が好調な和碩聯合科技(ペガトロン)を筆頭に、▽広達電脳(クアンタ・コンピュータ)▽仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)▽英業達(インベンテック)▽緯創資通(ウィストロン)──などがある。技術、生産規模ともに実力が高く、これまで世界の大手ブランドからの受注の大部分を握っていた。しかし、業界のトレンドがPCからモバイル端末へと移行し、主力のPC市場の低迷ともに業績が伸び悩んでいる。
このためタブレットPCやスマートフォンの受注獲得に注力するも、アンドロイドOSタブレットPCは利益が薄いことから、グーグルの「ネクサス」、アマゾン・ドット・コムの「キンドル」といった大量生産で利益確保が狙える機種の受注に力を入れた。また、アップルの「iPad」や「iPhone」の受注獲得にも力を入れたが、そうしたメーカーはアップルへの依存が進んだ。中国受託メーカーはこの間隙(かんげき)を縫って台湾受託メーカーが嫌がる低価格の受注も手掛け、勢力を拡大させ始めた。
市場攻略には地場メーカー
ブランドメーカーの中国市場戦略も、中国受託メーカーの追い風となっている。先進国市場での成長が伸び悩む中、ブランドメーカーにとって依然成長が見込める中国巨大市場は魅力で、市場を熟知した地場メーカーへのへの発注切り替えを促す要因となっている。
【表】
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722