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アジア2位集団から台湾脱落、「過去の栄光捨てよ」=国発会主委


ニュース その他分野 作成日:2014年2月20日_記事番号:T00048744

アジア2位集団から台湾脱落、「過去の栄光捨てよ」=国発会主委

 国家発展戦略を統括する新官庁として先月発足したばかりの国家発展委員会(国発会)の管中閔主任委員は19日、台湾は1970〜80年代に急速に発展したアジアの国・地域として「アジア四小龍」(台湾、韓国、香港、シンガポール)に名を連ねたが、他3カ国・地域に水をあけられとっくに脱落したとの認識を示した。その上で「台湾は過去の栄光にしがみつかず、現状を見つめ世界に追い付く努力が必要だ」と訴えた。20日付聯合報などが報じた。


「不都合な真実」を語った管主委。当面、TPPまたはRCEPへの参加交渉を順調に進めることが「国際化」への重要な一歩となる(中央社)

 台湾、韓国、香港、シンガポールは、もともと農業や軽工業などの産業を中心としていたが、海外からの資金や技術を取り入れてハイテク産業、重工業、サービス業などを発展させ、日本に次ぐアジアの工業化地域に成長したことから、当時アジアNIES(Newly Industrializing Economies)と称された。その後、NIESが先進国型経済に転換し、その他の新興国が発展したことからNIESという呼称はあまり使われなくなったが、かつてNIESの旗手として奇跡と呼ばれた経済成長を成し遂げた台湾では、身近な比較対象として「アジア四小龍」が今もよく持ち出される。

 管主任委員は、韓国は日米欧など20カ国・地域(G20)首脳会合にも含まれ、世界的な重要会議も開催するなど日本に挑戦する存在に成長したと指摘。香港は中国の後ろ盾を得、シンガポールは国民所得が台湾の2倍以上になっており、3カ国・地域は既に台湾をライバルとして見ていないと強調した。

 一方で台湾が3カ国・地域に後れを取った主因として、成長を続けた80年代は規制も少なかったが、社会の成熟に伴い多くの規制が設けられ経済発展が妨げられたことを挙げた。例えば、国光石化科技(KPTC)の台湾での大型プラント建設計画は、数兆台湾元(1台湾元=約3.4円)産業として期待されていたものの、環境問題などを理由に見送られたと指摘。一方で、シンガポールは高い環境水準を制定し、透明性を図ることで、国土が狭いながらも石化産業を確保したと説明した。台湾は経済成長率が3年連続世界成長率を下回るとの政府予測が示された他、給与水準は16年前を下回る状況で、管主委は「悪循環を断ち切るのが自分の使命だ」と強調した。

第3グループ以下の危機

 この発言を受けて、李淳・中華経済研究院(中経院)副執行長は、アジアにおいて台湾は日本に次ぐ2番手集団の「アジア四小龍」に属していたが、現在国際的には、▽マレーシア▽タイ▽インドネシア▽中国──が新たな成長株として認識されていると説明。台湾は経済成長率、給与水準が伸び悩んでおり、かつての第3番グループ、第4グループの国・地域にすら追い付かれると懸念を示した。

 台湾が今後どのように成長を取り戻すかについて、中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の許勝雄理事長は「国際化の加速」を挙げた。韓国は米国、欧州連合(EU)とFTA(自由貿易協定)を締結し、台湾の輸出に打撃を与えている。現在交渉中の中韓および日中韓FTAが締結されれば、ますます窮地に立たされるのは明白だ。また、香港やシンガポールは開放的な姿勢で地域経済圏に参加、外資の投資を獲得している。このため、台湾も積極的に各国・地域とのFTA締結を推進するとともに、投資環境の整備が必要との認識を示した。 

【表】