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給与控除2万元引き上げへ、消費活性化に期待


ニュース その他分野 作成日:2014年2月25日_記事番号:T00048829

給与控除2万元引き上げへ、消費活性化に期待

 張盛和財政部長は24日、2015年の総合所得税(個人所得税)の給与所得控除と障害者控除を各2万台湾元(約6万8,000円)引き上げる方針を示した。一方、控除後の課税所得金額が1,000万元を超える層を対象に税率45%の区分を新設する。富の再分配を軸とした税制改革「財政健全方案」で814億元の税収の増加を見込む。賃金が伸び悩むサラリーパーソンの負担を軽減し、消費の活性化を図る狙いだが、高所得人材の台湾からの流出を懸念する声もある。25日付工商時報などが報じた。


張財政部長は「金があれば多く納税してこそ君子だ」という鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長の言葉を引用した(24日=中央社)

 財政部がきょう25日に改正案を提出し、27日の行政院会(閣議)で討議し、上半期中に改正を行う予定だ。新制度は早ければ来年から実施され、16年の申告納税から適用される。台湾政府の財政赤字は毎年2,700億元に上る。

 財政部の所得税改正案によると、給与所得控除と障害者控除を現行の10万8,000元から12万8,000元に引き上げる。試算によると、給与所得控除引き上げで恩恵を受けるのは約647万人で、これによる税収減は年間66億元。共働き世帯なら税負担が年間2,000~1万6,000元減少する計算だ。障害者控除の引き上げは約51万5,000人に適用され、税収減は7億元の予測だ。

 張財政部長は、賃金水準が上がらず、消費に使う経済的余裕がない現状で、給与所得控除引き上げは賃上げに相当すると述べた。サラリーパーソンには増加した可処分所得で消費を楽しみ、内需を刺激してほしいと語った。

 一方、課税所得金額が1,000万元を超える7区分目の新設では、99億元の税収増を見込む。張財政部長は、高所得層の税負担増は日米のやり方に倣ったもので、対象となる9,500人は台湾社会に還元してほしいと述べた。

 この他、総合所得税と営利事業所得税(法人税)の配当控除を全額から半額に変更する。ただ、法人株主、単独資本や合弁の小規模な営利事業者46万社には適用しない。年間400億~500億元の税収の増加が見込まれる。

中小企業、雇用拡大を

 また、中小企業の営利事業所得税は新規雇用者の給与等支給額の130%を控除できるようにする。雇用拡大が目的で、就業機会1万件の創出を見込む。

 さらに、条件を満たした企業の研究開発(R&D)投資の控除を現行の「15%を1年間」に、「10%を3年間」の選択肢を加える。企業の競争力向上を後押しするが、税収は40億元以上の減少を見込む。

商工団体、増税に不快感

 中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、外国人に対する課税が最高20%なのに、高所得層に45%まで引き上げるとは、まるで台湾人いじめだと批判。導入するなら張財政部長は辞任すべきと迫った。中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の許勝雄理事長は、「社会に還元」と正義を振りかざすだけでなく、税金の使い道を具体的に説明すべきと訴えた。

 ある大手会計士事務所の代表者は、総合所得税が最高45%になれば、台湾を逃げ出す高所得者が増え、かえって税収減を招くとの見方を示した。

 立法院財政委員会では国民党の立法委員から、統一地方選挙(11月29日投開票)を前に高所得層の税負担を増やし、庶民の税負担を軽減する案を出すのは集票目的かとの疑問の声が挙がった。