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震災で流された気仙沼の船、台東の海岸に漂着


ニュース 社会 作成日:2014年3月4日_記事番号:T00048923

震災で流された気仙沼の船、台東の海岸に漂着

 台東県達仁郷の海岸にこのほど1艘の小型木造船が打ち上げられた。当初は密入国者が乗り捨てたものと考えられたが、調べを進めた結果、3年前の東日本大震災が発生した際、津波に流された宮城県気仙沼市の船であることが発覚。専門家によると、北太平洋を一周、2万キロメートルを漂流して台湾にたどり着いた可能性もあるという。


海巡署員らは太平洋を3年もさまよった船を目にして驚いていた(3日=中央社)

 海岸巡防署(海巡署)の巡視員は2日、達仁郷の海岸で裏返しになった船を発見。密入国者が上陸したと考えて、さっそく関係各所に連絡し、周囲の警戒を呼び掛けた。

 しかし、青と白のペンキで塗られたこの船をよくよく調べてみると、そこには「MG3-44187」という番号が記されていた。その番号は台湾の船舶に付けられるものとは異なり、しかも船の構造も台湾の漁船には見られないものだったことから、海巡署は国家捜査・救助センターに協力を依頼、船籍の割り出しを進めた。

 その結果、この船は日本の宮城県気仙沼市で登録された「富士丸」で、3年前の東日本大震災で津波に流されて行方不明になっていたことが判明した。

 台湾海洋大学・海洋環境資訊系の胡健驊教授はこの船の漂流ルートについて、日本から太平洋を南下し、北赤道海流に乗って西へ向かった場合は約1万メートルを流されたことになると指摘した。

 また日本から北へ流された場合は、北太平洋を東へ進み、米北西海岸に接近。さらにカリフォルニア海流で南下した後、北赤道海流に乗って西へ向かい、黒潮で北へ運ばれて台湾に到着した可能性もあるとの見方も示した。この場合は北太平洋をほぼ一周したことになる。

 胡教授によると、海上を漂流する船はうずに巻き込まれて海底に沈むことが多く、船の形をとどめたまま3年も流され続けるというケースは非常に珍しいという。

 なお、富士丸の所有者は既に所有権を放棄すると台湾側に伝えており、今後は廃棄処分とされる予定だ。