ニュース 医薬 作成日:2014年3月5日_記事番号:T00048975
明基友達集団の医療器材業者、明基三豊(BenQメディカルテクノロジー)は新会社を設立し、3D(3次元)プリンターを利用したインプラント治療のトータルサービス提供を始める。電子産業の成長が頭打ちとなる中、医療分野に活路を求めてきた同グループは、「BenQ」ブランドを武器にニッチ分野の口腔医療にも手を伸ばして、医療市場での地盤をさらに強化する構えだ。5日付経済日報などが報じた。
明基三豊が設立する新会社は「明基口腔医材」(BenQ・ABデントケア)で、イスラエルの戦略パートナーとの合弁となる。出資比率は明基三豊が80%に対して合弁パートナーが20%だ。
新会社が取り組むのは主に3Dプリンターの技術サービスで、歯科医がCTスキャンで画像を撮影後、3Dプリンターで作った立体歯型模型を使ってインプラント治療ができるようサポートする。患者の歯列を印象剤で型取りして作成した歯型模型を使用することによりインプラント手術の安全性や正確性が高まり、患者の不快感も減少する。明基三豊の陳其宏董事長は「インプラント治療に3Dプリンター関連のトータルサービスを提供する台湾企業は他になく、商機が見込めるニッチ市場だと判断した」と語った。
陳董事長はさらに、インプラント治療への参入は親会社の電子機器受託メーカー、佳世達科技(Qisda)の事業転換を加速し、収益力を高める意義もあると強調した。医療製品の粗利益率が台湾では平均31.5%と高いため、医療事業での製品割合を高めていく考えだ。
なお、台湾医療産業の最大の問題はブランド経営だとされるが、陳董事長はこれについて、BenQというブランド、明基三豊が持つ台湾全土270カ所の病院という顧客基盤、Qisdaの製造技術など、グループ全体のリソースを活用すれば相乗効果が働き、医療市場でのブランド経営もさらなる拡大が期待できると語った。また、関連企業との戦略パートナーシップ構築や買収なども引き続き進めていくとの考えを示した。
明基三豊はこの数年間、医療業界でM&A(合併・買収)を進めてきた。2012年末には電子部品メーカーの敦吉科技(オーディクス)から傘下の「怡安医療器材」を1億8,500万台湾元(約6億円)で買収して業績が大きく改善し、昨年の売上高は8億元を超えた。Qisdaが抱える他の医療事業と合わせると30億〜40億元に達しており、医療事業が占める売上高比率は今後も高まる見通しだ。
サブブランドも育成
BenQブランドで着々と医療分野の開拓を進める明基友達集団だが、美容医療や医療消耗品ではサブブランドを使用している。傘下の偏光板メーカー、明基材料(BenQマテリアルズ)が扱う「美若康(miracare)」ブランドのソフトコンタクトレンズや「安適康(AnsCare)」ブランドの止血剤などが代表例だ。今後は美容医療の分野でさらに多くのサブブランドを育成していく考えだ。
ただ課題もある。明基友達集団の傘下企業は軒並み医療器材とインテグレーションサービスで業務拡大を図っているが、まだまだ販売できる製品や提供できるサービスの幅が小さい。今後はソフトウエアやハードウエアの販売、設備の組み立てや設置なども含むトータルソリューションサービスの拡充に力を入れていく方針だ。
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