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「あの人は麻薬を持っている」、密告で無実旅客が出境できず


ニュース 社会 作成日:2014年3月6日_記事番号:T00048979

「あの人は麻薬を持っている」、密告で無実旅客が出境できず

 ある女性が先月、海外旅行に出かけようとしたところ、違法な物を何も持っていなかったにもかかわらず空港の出境審査で1時間半にわたる荷物検査を受け、その間に搭乗機が出発、旅行が台無しとなる不運に見舞われた。

 新北市在住の女性会社員、蔡倩綸さん(31)は2月27日からタイ旅行を計画していた。出発当日の午前11時ごろ、桃園国際空港に到着。カウンターでチェックインを済ませた後、出境審査を受けようとした際、税関職員が彼女のもとにやって来て「私と一緒に別室に来てほしい」と告げられた。

 そして小さなガラス張りの小部屋に連れて来られると、そこに警察が入って来て「あなたには麻薬を海外に持ち出した前科がある」と彼女に全く心当たりの無いことを宣告。「何かの間違いだ」と訴える彼女に警察官は「ここでは情報を確認できないので、慣例通り手続きを進める」と告げた。

 その後、警察は彼女の荷物を飛行機から降ろし、詳細に検分したが、そもそも無実の彼女の荷物をひっくり返して調べたところで何も怪しい物が出てくるはずもなく、結局、1時間半ほど取り調べを受けた後に釈放となった。しかし、その時彼女が乗るはずだった飛行機は既に離陸した後だった。

 自分の身に何が起きたのか理解できず、この悲劇の責任を誰に取らせれば良いか分からなかった彼女は、税関事務所へ出向き責任者に事情を聞くことにした。そこで彼女は事務所の主任から「昨日の夜、あなたが麻薬を持ち出そうとしていると匿名の男から電話があったため、調べることになった」との説明を聞かされた。

 「裏も取らずに匿名情報を信用するのか」とあきれる彼女だったが、財政部関務署は電話をしてきた男の通報内容が明確だったため、条例に基づいて検査を行ったと主張した。

 しかし台湾人権促進会は、関連条例の条文にはあいまいな部分があり、行政機関の裁量権が大き過ぎる内容となっていると指摘。今回の対応に対しても「職権乱用に当たる」と非難している。