ニュース 商業・サービス 作成日:2014年3月6日_記事番号:T00049005
台湾を代表する鍋料理チェーン「鼎王麻辣鍋」が、先月末に不当表示などで罰金を科されたのに続き、系列の焼き肉店「塩選焼肉」でも5日、新たに不当表示が発覚した。両店を経営する鼎王集団への罰金総額は380万台湾元(約1,300万円)に上る。消費者を欺く行為が次々と発覚する同社に対し、台中市衛生局は営業停止命令も辞さない構えだ。6日付蘋果日報などが報じた。
陳執行長(中)は鼎王麻辣鍋を台中市の夜市から始め苦労の末、台湾を代表するまでの鍋料理店に育てたが、今回の問題で信頼に大きな傷が付いた(5日=中央社)
今回発覚したのは、台中市西区に2002年にオープンした塩選焼肉で使用している調味塩「塩のダイヤモンド」が、1,000万元を投じて設立した製塩工場で独自に製造し、市販製品よりナトリウム含量を30%カットしているとうたっていたものの、工場自体が存在せず、ナトリウム含量も事実と異なっていた問題で、市衛生局は食品衛生管理法違反で罰金180万元を科した。また、「塩のダイヤモンド」は高級食材のフランス産黒トリュフを使用していると称していたが、有力週刊誌の壱週刊は、同社が黒トリュフを輸入している形跡がないと指摘。これを受け、衛生局は引き続き調査する方針だ。
誇張表現は認める
これに対し鼎王集団は5日声明を発表。「塩のダイヤモンド」は厳選された高品質の食材を使用しており、メディアが指摘するような、営利をむさぼっていることは決してないと説明。ホームページ上の表現は誇張し過ぎていたため誤解を生んだことを認め謝罪した。ただ、黒トリュフの使用の有無については触れなかった。
同社の問題が次々と明らかになったのは、先月末に壱週刊が「同チェーンのスープに使用される一部食材から農薬、水銀、カドミウムなどの残留が認められた」と報じたことが発端だ。桃園、新竹、高雄では現在調査中だが、台中市、台北市の検査では、残留農薬などは検出されなかった。しかし、報道を受け同社がセントラルキッチンをメディアに公開し、製造工程を説明したところ市販の鶏ガラスープのもとを使用している事実が明らかとなり、32種類の漢方材料を使用しているという広告の不当表示に対し、まずは罰金が科された。その後の調査で、天然食材使用の有無や食材の誤った効能などの不当表示および未登記工場でのスープ製造の合わせて5件の違反が発覚している。
「パン達人と同じ道も」
これらの問題は、11年に発覚した果汁飲料やスポーツ飲料への可塑剤混入や、13年の食用油への問題着色料の添加などと違い健康被害をもたらすものではない。しかし、これらの事件以降、食品偽装も相次ぎ、消費者が食品業界に厳しい目を向けるようになったのは事実で、食品メーカーの違反行為に対する罰則を強化する食品安全衛生管理法(食品衛生管理法から名称変更)の改正案が今年1月に立法院で最終可決(三読)している。最近では「天然素材のみ使用」を掲げ絶大な人気を誇っていたベーカリーチェーン「パン達人手感烘焙(トップ・ポット・ベーカリー)」が合成香料を使っていたことが明るみとなり、現在は2店舗まで縮小。いずれ閉店する見通しだ。
鼎王集団は当初、製造工程を公開するなどオープンな姿勢とみられたが、陳世明執行長の発言や声明には疑惑にはっきりと答えていない部分もある。今後も新たな問題が浮上すれば、パン達人と同じ道を歩む可能性すら指摘されている。
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