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韓国・カナダがFTA締結、市場開放圧力一段と


ニュース その他分野 作成日:2014年3月12日_記事番号:T00049118

韓国・カナダがFTA締結、市場開放圧力一段と

 台湾が輸出市場でライバル視する韓国が11日、カナダと自由貿易協定(FTA)を締結した。韓国は米国、欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)などの巨大市場と既に9件のFTAを発効させ、自由貿易を加速している。一方台湾は、主要貿易相手国・地域との経済協定締結の最初の関門と位置付ける中台間のサービス貿易協定をめぐり、12日より立法院で改めて与野党間の激しい舌戦が繰り広げられる見通しで、今会期での承認が順調に行われるかは予断を許さない。地域経済への統合において韓国との差は広がる一方だ。12日付工商時報などが報じた。


馬総統は、中台サービス貿易協定について、自由化への決意を示すもので信頼を得られると述べ早期発効の重要性を訴えた(11日=中央社)

 韓国にとってFTA締結は12カ国・地域目。カナダにとってはアジアの国との初めての締結となる。早ければ6月、遅くとも来年には発効する見通しで、発効後の両国の輸出額は台湾元換算で約800億元(約2,700億円)増加すると試算されている。

10年後、97%がゼロ関税

 江宜樺行政院長は同日、台湾も各国・地域との経済協定発効を急がなければ、内需、輸出ともに致命的なダメージを受けると述べ、切迫感をあらわにした。

 経済部国際貿易局(国貿局)の江文若局長は、韓国・カナダのFTA発効後の台湾への影響について、当面は大きくないとの見方を示した。発効後2年以内に開放される品目が自動車や自動車部品、洗濯機などで、台湾がカナダへ輸出する▽通信▽鉄鋼▽プラスチック▽機械──などの主要製品と重複しないためだ。しかし、段階的にゼロ関税品目の対象を拡大し、発効後10年以内には両国の97.5%の品目でゼロ関税が適用される予定で、台湾も積極的な対応が迫られていると強調した。

 韓国はこれまでに発効した各国・地域とのFTAによって、12年の貿易総額のうちゼロ関税の恩恵を受けるのは36%に上る。現在さらに10カ国・地域とのFTA交渉を継続中で、3年後にはこの数値が81%に拡大する見通しだ。一方、台湾は7カ国とのFTAを発効しているが、中国との海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)でアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ品目)は対象品目が少ない他、締結国・地域は友好国の中米各国、ニュージーランド、シンガポールと、韓国の対象国と比べると市場規模は圧倒的に小さく、ゼロ関税品目が占める割合は9.32%にすぎない。

 韓国とのFTA発効後、EUと米国で台湾製品のシェアが下落したかどうかははっきりした統計がない。ただ、関係者は韓国同様に関税の恩恵が受けられれば、世界における台湾製品の競争力はさらに高まると指摘した。

ECFAが鍵に

 台湾が韓国に負けない競争力を付けるには、各国・地域とのFTA締結を急ぎ、自由貿易を拡大する必要がある。そんな中、韓国よりリードを保っているのが中国との関係だ。韓国は中国との2国間、および日中韓の3カ国によるFTAは現在交渉段階にすぎないが、アーリーハーベストの他、昨年6月に調印したサービス貿易協定が発効すれば、対中貿易で韓国より優位に立てる。

 ただし、同協定は関係産業の意見を聞かず、調印後に初めて内容が明らかになったため、秘密裏に進めた政府への反発が広がった。野党民進党は条文ごとの審査と採決を要求し、いったんは与野党間で合意が得られたものの、今回12日からの与野党審議で再度争議の焦点に浮上している。背景には、条文ごとの審査は時間がかかる上、再度中国との交渉が必要になるため発効が大幅に遅れること、そうなった場合、国際社会に自由貿易と市場開放に消極的と受け取られる懸念がある。このため与党国民党は一刻も早い立法院での審議進展を主張しており、対決姿勢を強める民進党との間で激しい応酬が予想される。

 なお、馬英九総統は10日、台北市米国商会(商工会議所)で行われたパーティーに出席した際、どれだけ遅くとも6月中には審議を通過させると述べた。

【表】