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TSMCがQ1業績上方修正、アップルにアピール


ニュース 電子 作成日:2014年3月13日_記事番号:T00049147

TSMCがQ1業績上方修正、アップルにアピール

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は12日、第1四半期売上高予想を6.5~8.1%上方修正し、非需要期に異例のプラス成長予測に転じた。ロー~ミドルエンドのスマートフォン需要が強まり、28ナノメートル製造プロセス製品の緊急受注が増加したためだ。同社が「今年の力強い成長の幕開けだ」と強調したことから、アップルやクアルコムなど大口顧客に対し、同社生産能力をより高値で早急に確保するよう迫る戦略的意図がうかがえる。13日付経済日報などが報じた。

 TSMCは、第1四半期の売上高予想を前期比0.8%増の1,470億台湾元(約5,000億円)に、従来の1,360億~1,380億元(同5.4~6.7%減)から引き上げた。第1四半期の粗利益率予想は同2.5ポイント引き上げて47%(従来44.5~46.5%)に、営業利益率予想は同2.2ポイント引き上げて35%(従来32~34%)とした。

 何麗梅財務長は、業績予想の上方修正は28ナノの需要増に伴い、顧客が在庫補充を強化しているためと説明した。

 同社は、28ナノ高誘電率膜・金属ゲート(HKMG)技術の28HPMプロセス需要が強い上、低コスト版の28HPCプロセスもクアルコム、聯発科技(メディアテック)、中国の展訊通信(スプレッドトラム)、深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)など携帯電話用半導体メーカーに採用されていると説明した。

アップルA8、5月にも出荷

 同社は上半期の28ナノプロセス受注は既に満杯になっている他、第1四半期に量産を開始した20ナノプロセスは、アップルの次世代プロセッサー「A8」などを5~6月から出荷する見通しだ。

 「A8」はサムスン電子にも発注し、TSMCの単独受注ではなくなるとの市場観測が出ている。こうした中での業績予想の上方修正は、アップルに対し、同社への発注が最良の選択だとアピールする意図とみられる。

 TSMCは20ナノ月産能力を年初の1万枚(12インチウエハー)から年内に6万枚に増やす。今年通年で売上高の10%、第4四半期には20%を占める予測だ。

Q2は過去最高売上高へ

 TSMCの力強い成長は第1四半期にとどまらない。設備業者は、同社は第2四半期に特にスマートフォンやタブレット型パソコンに搭載するWi-Fiチップ、液晶ディスプレイ(LCD)ドライバICなどの受注が増え、12インチ工場はほぼ受注が満杯になると予測した。12インチ工場の65、55ナノプロセスや40ナノプロセスといった成熟プロセスも設備稼働率が平均90%以上に回復し、8インチ工場はフル稼働になるとみている。

 証券会社は、第2四半期売上高は15~20%増で過去最高となると予測した。 

【図】