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学生が立法院占拠、中台サービス協定強行に抗議


ニュース その他分野 作成日:2014年3月19日_記事番号:T00049255

学生が立法院占拠、中台サービス協定強行に抗議

 立法院が、与党国民党による中台サービス貿易協定の委員会強行突破に抗議する学生や市民数百人に占拠された。市民による立法院占拠は前代未聞のことだ。学生側は審議のやり直しや馬英九総統による謝罪、江宜樺行政院長の辞任などを要求しており、21日まで占拠を続ける方針だ。野党民進党も、21日から支持者を動員しての抗議活動を予定しており馬政権と全面対決する構えだ。馬政権は年末の統一地方選挙もにらんで難しい対応を迫られる。


学生に占拠された立法院。抗争が一段落して議長席の後ろで寝転がる学生も(19日=中央社)

 学生らは18日午後9時半ごろ、警備員の制止を振り切って議場に乱入。「馬英九は戒厳令を復活させた」「台湾人民の75%が(中台サービス貿易協定の)条文ごとの審査を求めている」などと書かれた横断幕を広げ、63時間にわたって占拠を実行すると宣言した。

 19日未明から朝にかけて、警察が学生を排除すべく3回にわたって議場への進入を試みたが、学生らの激しい抵抗に阻まれた。19日午後現在も学生らによる占拠が続いている。また、立法院の周囲には、報道を受けてさらに多くの学生や市民が集まっている。

 王金平立法院長は19日占拠事件に対し、「社会に良くない見本を示しており遺憾だ」として立法院を正常な状態に戻すよう学生らに呼び掛けた。

強引過ぎに批判噴出

 国民党、総統府、行政院は立法院の自治に関係する問題だとして、19日午前までに明確な反応を行っていない。国民党関係者は、中台サービス貿易協定の台湾経済にとっての重要性を改めて市民に呼び掛ける考えを示した。

 学生らが抗議に立ち上がったのは、16日に立法院の8つの常設委員会共同で、与野党交渉は打開できないと判断した与党国民党が一方的に中台サービス協定の審議通過を宣言し、立法院会議(院会、本会議に相当)への付託を決めたためだ。国民党はこの際、「立法院職権行使法」を根拠に、同協定は審議開始から3カ月が過ぎたため審議が終わったと主張した。しかし同法は行政命令を対象としており、中台の窓口機関の間で調印した協定を行政命令と同様に扱ったことに「あまりにも強引」「民主主義無視」との批判が出ていた。

 なお、与野党間では昨年6月、サービス貿易協定は条文ごとに審査・表決を行い、審査を通過しない限り発効させないことで合意しており、王立法院長は18日、同合意が破られたことを批判していた。

 サービス貿易協定は昨年6月、中国が80項目、台湾が64項目で相互に市場開放を行うことで合意、調印されたが、台湾では一部の市民の間で中国への市場開放に依然警戒感が強い。

最終的に譲歩も

 国民党は抗議活動に譲歩して、与野党合意に立ち返って条文ごとの審議を行う場合、サービス貿易協定の発効見通しが全く不透明になってしまう。ただ、強行姿勢を貫いて馬政権への反感が今以上に広がった場合は年末の統一地方選挙での惨敗が目に見えている。このため最終的には譲歩を余儀なくされる可能性がある。