ニュース 社会 作成日:2014年3月24日_記事番号:T00049334
中台サービス貿易協定に反対する学生らは23日夜に立法院に続いて行政院も占拠したものの、警察による強制排除を受けて撤退した。台北市政府によると学生らと警察官のもみ合いで、双方合わせて160人以上がけがを負い、学生らが血を流す場面も見られた。立法院の占拠は依然続いている。学生らは各地の大学で授業ボイコットに入るなど運動を拡大させており、混乱が長期化する恐れも出ている。
警察は学生らに大量の放水を浴びせ、行政院の敷地から追い出した(24日=中央社)
23日は馬英九総統が記者会見で、中国とサービス貿易協定を発効させないと、他国との自由貿易協定(FTA)交渉や、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟交渉に影響し、台湾の国際的競争力が低下すると訴えた。台湾に利益となる協定であるため撤回する気はないと表明し、学生らに立法院からの撤退を呼び掛けた。しかし学生側は同協定が密室で決められたことを改めて批判し、幅広い層による「公民憲政会議」の開催や、協定の差し戻し、中台間の協定の監督条例成立など4項目を馬政権側に要求した。
24日付蘋果日報によると、学生と市民がこの後午後7時半ごろから行政院に進入して建物を占拠した。これに対し警察側は23日深夜から24日朝にかけて数回にわたる排除行動を行い、行政院の周囲一帯から学生らを追い出した。排除の際、学生61人が現行犯逮捕され、このうち35人が公務執行妨害などで送検された。けが人は台北市の統計で学生・市民側が109人で、警察官は52人。大部分は軽傷だという。
行政院の占拠は、学生の一部が政権側に十分な譲歩を引き出させていないと判断、さらに過激な行動に走った結果のようだ。学生には、過激化すれば一般市民の支持を失うとして非暴力的な抗議に徹するグループと、行動をより拡大させて馬政権に譲歩を迫ろうというグループの間で意見対立があるとされる。
24日は抗議運動に声援を送るとして、台湾大学や台湾師範大学、清華大学などの全土28の学生団体が授業ボイコットを呼び掛け、午前7時までに1,500人が賛同の署名を行ったという。
国民党高雄支部では、市民が入り口の前で座り込みを続け、職員は出勤できない状態だ(24日=中央社)
民進党、中国との再交渉決議
次の焦点は学生の運動がさらに拡大するか否かだ。学生による抗議活動は、国民党が立法院共同委員会で、サービス貿易協定の審議が既に終わったとして本会議に送付する決定を強行したことが発端だった。24日付中国時報が内部関係者の情報として伝えたところによると、馬総統自身は委員会審議のやり直しも選択肢との考えを持っているという。
実現するかは与野党合意が鍵だが、野党民進党は24日午前、国民党立法委員が欠席した常設8委員会の連席会議で、サービス貿易協定の差し戻しと中国側との交渉やり直しを決議しており、事態がさらに混乱する恐れがある。
経済部、大量移民説を否定
中台サービス貿易協定の影響に対する受け止め方は立場によって大きな違いがあり、反対派の主張の中には「台湾経済が中国経済に飲み込まれる」といったものがある。
経済部は23日、「180万人の中国人移民が押し寄せる」とのうわさがあることについて事実無根と否定した。その上で「サービス貿易協定は、中国人の台湾での就職、投資移民を開放しておらず、永住権や市民権も認めていない」と強調した。
経済部投資審議委員会の張銘斌執行秘書は「中国人の投資家や技術者に発給している1年間の出入境許可は滞在権を認めただけで、居留権ではない」とし、出入境許可をあたかも「投資移民」ととらえる一部学識者や弁護士の見方は市民に誤解を与えるものだと説明した。さらに、今年1月までに認められた中国資本による投資案件は495件で、9,600人の雇用を生み出しているとして、中国資本への市場開放は雇用機会の創出につながっているとの認識も示した。
投資移民偽装も
一方、台湾側は美容室分野を開放するが、中国資本は30万米ドルで台湾の小規模の美容室を買収すれば管理職者または技術スタッフの期間3年の滞在が認められ、更新回数に制限はない。このため制度の利用によって30万米ドルの投資で中国人3人が事実上の台湾の永久居住権を手にすることになり、こうした「投資を装った移民」が急増するとの指摘も出ている。
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