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馬総統が学生と対話意向、事態打開なるか


ニュース 政治 作成日:2014年3月25日_記事番号:T00049362

馬総統が学生と対話意向、事態打開なるか

 李佳霏・総統府報道官は25日午後、馬英九総統が、中台貿易サービス協定に反対する学生たちの代表と、前提条件を設けずに同協定について総統府で対話したい意向を持っていると発言した。立法院を占拠しての抗議活動は8日目で膠着(こうちゃく)状態となっており、事態が解決に向けて動き出すのか注目される。


25日の朝刊各紙は行政院からの学生排除で流血の事態になったことを大きく報じ、馬英九政権への非難感情が強まった(25日=YSN)

 馬総統は23日、学生の直接対話要求には応えず、記者会見を開いて同協定の必要性を訴え、学生たちに立法院からの撤退を呼び掛けていた。学生たちは反発して同日夜に行政院まで占拠、強制排除の過程で一部が流血するなど警察官と合わせて計160人以上がけがをする事態となり、対立状態がさらに深まっていた。学生側の態度はまだ明らかになっていないが、強硬姿勢を貫いた場合は逆に市民から批判を浴びる恐れがある。

 これに先立つ25日昼、中華民国全国工業総会(工総、CNFI)など商工団体が、立法院を正常化し、問題解決に向けて冷静に協議するよう立法委員など関係者に訴えた。

 許勝雄理事長率いる6団体52人は今回の事態で対立が深まった結果、与党が本来想定していたスケジュールで推進するのは困難になったとして、関係者が「ゆっくりやれば円満にいく」との姿勢で、立法プロセスを改めて検討するべきと主張。与野党間で協議を迅速に再開し、同協定を委員会または本会議で、条文ごとに審査と採決を行うことで早期に合意するよう呼び掛けた。

決裂なら初任給1.5万元も

 一方、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)の李志村董事長は、台湾は人口2,300万と市場が小さい上、輸出依存度は67%と韓国の51%より高く、輸出製品は薄利多売が中心のため、中台貿易サービス協定なくして国際競争で生き残れないとの考えだ。製品を輸出できなければ、工場が閉鎖に追い込まれ、失業率が高まり、新卒者の初任給は月2万2,000台湾元から1万5,000元(約5万円)まで落ちると警告した。政府は若者に対して、しっかり説明しなければならないと強調した。

 工作機械の業界団体、台湾区機器工業同業公会(TAMI)の王正青秘書長は、中台貿易サービス協定を立法院で早く承認し、物品貿易協定につなげてほしいと述べた。国民党が全員欠席で審査の委員会差し戻しなどを決議した立法院の連席委員会に対しては、行政権に対する深刻な侵犯で、これを許せば台湾と経済協定を結ぶ国・地域がなくなると訴えた。

 観光、航空業界団体は、混乱が続けば台湾のイメージが悪化し、外貨収入3,500億元の観光業界に打撃が出ると、早期解決を呼び掛ける共同声明を発表した。

ストライキ、経済損失1200億元

 江宜樺行政院長は24日、中台貿易サービス協定のやり直しを求めるならば、どの条文に問題があり、台湾が経済利益を損なうのか具体的に示してほしいと呼び掛けた。懸念事項があるならば、野党と協議する他、学生の代表との意見交換も可能だと述べた。

 また、学生団体がストライキと授業ボイコットを呼び掛けていることに対し、審査のやり方に意見の相違があるとしても、ストライキなどの正当な理由にはならないと強調した。

 経済部の杜紫軍次長は、1日のストライキで産業界の損失は1,200億元に上ると試算を示している。