国民党大勝、民進党惨敗の選挙結果を受けて、主要各紙は、民進党の政権運営の拙さによって人心の離反が起きた結果という論調で報じた。
「台湾は宝島」のラップで人気となった、「踊る政府スポークスマン」の謝志偉新聞局長。衝撃の選挙結果に、13日は台湾メディアの質問に声を詰まらせていた(YSN)
野党国民党寄りの聯合報は、敗戦の責任は陳水扁総統個人にあるとして、陳総統を「民進党の罪人、台独の罪人、そして台湾の罪人だ」と一刀両断した。「民進党は陳総統のせいで敗れ、国民党は陳総統のおかげで勝った」とし、国民党大勝の原因は「反陳政権の民意プラス新選挙制度」にあると論じ、国民党自体への支持が増えたわけではない、と国民党に過大な自己評価を戒めた。
国民党が今後の立法院で81議席を占めることについては、「一党の力が大きくなりすぎると腐敗の温床となりやすい」と警告を発し、民進党支持者の失望感を救い上げ、台湾全住民の声に応えるため、勝利におごることのなく努力するよう同党に求めている。また、今回新たに実施された小選挙区比例代表制の下、小政党がいずれも5%の得票率に届かず多くの死票が出たことについて、小政党に投じた民意をいかにくみ取り、二大政党制の弊害を抑えるかが課題となると指摘した。
同じく国民党寄りの中国時報も、「国民党勝利の主因は新選挙制度ではなく、民進党自ら墓穴を掘ったことだ」と、陳水扁総統一家にまつわる汚職スキャンダル発生以降、民心が民進党から離れたことを指摘し、民進党に選挙戦略と政治路線の変更を提言している。また今回26%という低投票率にとどまった住民投票については、聯合、中国時報両紙とも総統選では実施を再検討するよう求めている。
「敗戦を教訓に」=自由時報
民進党寄りの自由時報は、民進党の得票率が前回立法委員選挙の35.72%から36.91%(比例代表)に伸び、国民党とは15%差しかないのに、議席数では3倍の差がついたことについて、新選挙制度は「勝者の総取り」を助長し、民意を正確に反映していないと指摘した。
また、今回の選挙では政策論争がほとんど行われず、候補者は支持基盤確保のためネガティブキャンペーンや票の買収行為に終始したと批判した。特に国民党は、潤沢な資金を生かして民意の直接的な表明である住民投票を公然と否定したと非難した。
ただ同紙も、「改革が正しければ、有権者は正しい結果を出すはず」と、これまでの民進党の執政が失敗だったことを認め、同党は敗戦を教訓として民意の正確な把握に努めるべきとしている。
争点は経済問題=経済紙
経済紙の工商時報は、国民党が経済問題を前面に押し出して勝利したことに、「有権者にとっては、統一独立の問題よりもやはり経済政策が重要」という見解を示し、民進党の経済政策に有権者が強烈な「ノー」を表明したと断じた。経済日報も、有権者は経済政策に変化を求めているとの見方を示し、今後中国への投資関連の法令はより制限が緩和される方向に向かうだろう予測した。