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「中台協定撤回を」、学生・市民が大規模デモ


ニュース 社会 作成日:2014年3月31日_記事番号:T00049486

「中台協定撤回を」、学生・市民が大規模デモ

 中台サービス貿易協定に反対する学生や市民による大規模デモが30日台北市中心部で行われ、主催者側の発表で50万人を集めた。学生リーダーの林飛帆氏は、サービス貿易協定撤回などの要求に馬英九総統から依然具体的な回答が得られていないとして立法院の占拠継続を宣言。一方、馬政権は協定推進は譲れないとの立場で主張が正面からぶつかり合っている。このため、幅広い層から意見を聴取する国是会議の開催など、事態打開の糸口を見出す知恵が問われている。


「台湾の未来は台湾人民が決める」と訴える林飛帆氏(右2、30日=中央社)

 午後1時集合、3時開始の予定で始まったデモは、午後1時には総統府前の凱達格蘭大道が、「サービス貿易協定の密室決定」への抗議を示す黒いシャツを着た学生らで満杯となり、周辺の中山南路や仁愛路などに座り込みの人の群れが拡大していった。

 中央ステージでは、立法院を占拠した学生たちに声援を送るため台中からリレーマラソンで立法院まで来たという静宜大学の学生たちや、応援に駆け付けた高雄市など南部各大学の学生らが壇上に上がり、サービス貿易協定の撤回などを訴えた。

 午後7時30分には林飛帆氏が登場し、▽サービス貿易協定の撤回▽中台間の協定に対する監督条例制定▽監督条例制定をサービス協定審議に優先させる▽「全民憲政会議」の開催──の4項目の主張を改めて訴え、これらの主張に馬総統が具体的に答えるまで立法院の占拠を続けると表明、「周りの参加者7人と知り合って、曜日別に立法院に来てほしい」と長期抗戦を視野にデモ参加者に呼び掛けを行った。

 デモは大規模でありながら理性的で秩序立っており、午後7時40分の解散宣言から20分ほどで大部分が引き上げた。


大勢の参加者は時には笑い、時には涙を浮かべつつ、登壇者の発言を見守った(30日=YSN)

「馬政権最大の危機」

 デモについて国民党寄りの聯合報は31日付で「馬総統は発足以来最大の危機を迎えた」と論評。学生たちの立法院占拠以来の運動手法の優れた点を認めつつ、過去20年で台湾中小企業の競争力は高まっているとして、「サービス貿易撤回」を堅持する主張は幅が狭過ぎ、調整しない限り運動は正当性を失うと警告した。

 一方、独立派寄りの自由時報は、「デモの空前の参加者数と8割に達する支持率から、馬政権は既に統治の正当性を失った。民意に従わない限り下野を免れ得ない」と指摘した。

産業界が事態打開呼び掛け

 31日午前は中華民国全国工業総会(工総)、中華民国全国商業総会(商総)、台湾金融服務業聯合総会(TFSR)など30余りの産業組合と、企業会の代表40人余りが馬総統に面会し、学生との直接対話や国是会議の開催による事態の打開を求めた。産業界の代表者が馬総統にこうした呼び掛けを行ったのは25日以来2回目だ。

 馬総統は、中台協定に対する監督メカニズムの法制化の要求には応じており、早ければ4月3日に行政院大陸委員会(陸委会)が行政院会(閣議)に提出すると説明し、学生たちに立法院からの早期撤退を改めて呼び掛けた。

 張家祝経済部長は30日夜、「サービス貿易協定に反対する学生は、自分たちの未来に反対している」と指摘した。今後3年で世界的に自由貿易協定(FTA)網や、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の構築が進む中で、サービス貿易協定を撤回したらさらに2〜3年を無駄にし、主要貿易対象国とのFTA締結や、TPP、RCEPの加入交渉に影響するとして「台湾経済には待てる時間はない。時間が非常に重要だ」と苦渋をにじませた。経済部は31日の政治大学を皮切りに、全土の大学で協定の重要性を訴える対話集会を開く。