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民進党が空前の惨敗、総統選に暗雲


ニュース 政治 作成日:2008年1月13日_記事番号:T00004950

民進党が空前の惨敗、総統選に暗雲

 
 初めて小選挙区比例代表制度が導入された立法委員選挙(定数113議席)の投開票が12日行われ、野党国民党が選挙区と比例代表で計81議席を獲得する大勝利を収めた一方、与党民進党は27議席と空前の惨敗を喫した。国民党は友党の立法委員と合わせれば立法院の4分の3の絶対多数を占めることに成功し、総統罷免案や憲法改正案の可決までも可能になった。民進党は2カ月後に迫った総統選挙(3月22日投開票)に向けて、苦しい立場に立たされた。
 
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大惨敗を受けて支持者に謝罪する陳水扁総統(左)。議席数は同党の最悪予想の35議席をも大きく下回った(12日=中央社)

 選挙区の得票率は国民党53.5%で、25県市のうち台北市をはじめ15県市で全選挙区の候補者が当選する圧勝ぶりとなり、選挙区の当選者は61人に上った。西部は雲林・南投県以北、東部は台東県以北で、民進党に議席獲得を許したのは台北県の2選挙区のみだった。
 
 民進党は台南県・市の5議席で全勝するなど、嘉義県以南では19選挙区中11議席を押さえて国民党に対抗できたが、選挙区全体では台北県と合わせてわずか13議席にとどまった。

 過去の台湾の地方選挙では、選挙のたびに南部の緑色(民進党のシンボルカラー)が徐々に北上していく傾向があったが、今回は国民党のカラーである青が一挙に押し返した格好だ。13日付中国時報は、「北部は青さを 増し、中部も青で、南部も青に変わった」と報じている。
 
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 なお、民進党は台中、彰化、雲林、南投の中部で1選挙区も取れなかった。2004年の総統選挙では中部を押さえたことが陳水扁・呂秀蓮ペアの勝利につながったといわれたが、今回は崩壊状態となったため、中国時報は「民進党は致命的な打撃を受けた恐れがある」と指摘した。

 選挙区ではこのほか、国民党に近い無党団結聯盟、親民党および無所属の5人が当選した。 

新党・台聯、議席失う

 比例代表では、国民党が過半数の501万801票(51.23%)を獲得。民進党は377万5,352票で(36.91%)で、得票率では基盤とされるラインをやや下回った。

 注目された比例代表の小政党の戦いぶりは、新党が38万6,660票(3.95%)、台湾団結聯盟(台聯)が34万4,887票(3.52%)など、いずれも議席配分を受けられる得票率5%に届かなかった。この結果、比例の全34議席は、得票率に応じて国民党20議席、民進党14議席と分配された。新党と台聯は立法院で議席を失うこととなった。

絶対的な主導権を確保
 
 国民党は立法院での圧倒的多数を得たことにより、自党提案のいかなる法案も簡単に成立させ、民進党提案の法案はこれまで以上に楽々と不成立に持ち込むことができるようになった。

 そればかりか、自党だけで全体の3分の2議席以上を確保したことで、総統の罷免案も提案・可決でき(実際の罷免にはさらに住民投票で有効票の半数以上の賛成が必要)、さらに無党団結聯盟・無所属を合わせれば86議席となり、改憲に必要な立法院の4分の3の議席(85議席)をも超え(改憲も住民投票の賛成が必要)、行政体制の変革すら可能な、総統府に対する極めて強力なけん制力を掌中にした。

 しかし、立法院で唯一の大勢力になったことにより、権力の乱用・腐敗が生じやすくなるマイナス面も生まれた。民進党がかつてのようにボイコット戦術をとるようになれば、新たな混乱が生まれる可能性もある。

「安定か、混乱継続か」
 
 国民党はまた、総統選挙に向けて「安定か、混乱の継続か」という主張を有権者に訴えることができる、有力なカードも手にした。 

 民進党は立法院で約4分の1の少数に転落した。今回の選挙で50議席を目標にしていた同党は、謝長廷氏の総統当選を経ての多数派工作を目指すとしていたが、仮に謝候補が当選してもそうした展望は描きにくくなった。

 謝候補は立法院の協力が得られないことが明白なため、経済振興のスローガンも訴えにくくなった。総統選まで残りわずか2カ月あまりで、同党は態勢の立て直しが急務だが、情勢は厳しさを増した。

張内閣、28日に総辞職

 当選した新立法委員の任期は2月1日からだ。張俊雄行政院長は慣例に従って1月28日に内閣総辞職を行う。張行政院は陳総統の慰留を受けて、任にとどまるとみられる。
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