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台湾は貿易自由化に準備不足、米USTRが示唆


ニュース その他分野 作成日:2014年4月2日_記事番号:T00049541

台湾は貿易自由化に準備不足、米USTRが示唆

 米通商代表部(USTR)が31日発表した外国の貿易障壁に関する年次報告書に対し、経済部国際貿易局(国貿局)は、今年は台湾の中国資本に対する規制が外資以上に厳格と記述されていると指摘した。学生たちの立法院占拠で中台サービス貿易協定の議会承認が進まない中で、これでは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に準備不足だと米国から批判されたに等しいと2日付工商時報は分析した。


蕭万長前副総統は1日、中台サービス貿易協定がうまくいけば、台湾のTPP、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉参加を後押しすると語った(1日=中央社)

 米USTRは年次報告書で、台湾は中国資本と外資に対する開放がダブルスタンダードだと指摘した。昨年の年次報告書では、台湾の中国資本に対する投資規制は多いが、徐々に開放を進めていると前向きな表現だったが、ニュアンスが変わった。工商時報の分析によると、企業のグローバル展開が当たり前となる中、米国は中台間の経済貿易関係が正常化、制度化しなければ、米国の経済利益に影響すると懸念している。米国企業が中国の工場で生産しても投資規制製品ならば台湾に輸出できないためだ。

 卓士昭・経済部次長は、米国は台湾に対し世界貿易機関(WTO)協定の順守、履行を望んでおり、これまで開放を進めてきたと話した。海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)の2010年6月末の調印後、ポジティブリストは徐々増え、12年3月より製造業は204項目(全体の97%)、サービス業は161項目(51%)、公共建設は43項目(51%)まで拡大した。中国資本は「大陸地区人民来台投資許可弁法」に基づきポジティブリストで投資可能な項目が制限されている。一方、華僑・外国人による投資は「華僑回国投資条例」と「外国人投資条例」に基づき、ネガティブリストで10項目が禁止、16項目が制限されているだけだ。

中台物品貿易協定、遅延を確実視

 立法院を占拠した学生たちの要求に一部応じる形で、行政院は1日、中台間の協定を監督する仕組みとして、両岸協議監督条例草案の初審を通過させた。3日に行政院会(閣議)に上程する予定だ。4段階の国会監督、2段階の国家安全(国安)審議を明文化したもので、今後法制化されれば、立法院が協定を承認しない場合、中台は協定交渉をやり直すことになる。

 消息筋は、同条例は昨年6月に調印した中台サービス貿易協定には適用されないが、後続の中台物品貿易協定は同条例に従い、行政部門の折衝からやり直しとなる可能性があると指摘した。

 政府関係者は、やり直しとなれば説明会や公聴会を開催しなければならない上、中国との交渉段階や調印前に立法院の同意を得なければならず、スケジュールが遅れるのは必至だと述べた。一方で中韓自由貿易協定(FTA)交渉が第10回会合まで進んでおり、年末にも調印、発効となれば、韓国の石油化学、自動車、機械が中国市場にゼロ関税で輸入され、台湾産業界への打撃は非常に大きいと話した。