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撤退か占拠継続か、迫る決断の時


ニュース 社会 作成日:2014年4月7日_記事番号:T00049598

撤退か占拠継続か、迫る決断の時

 中台サービス貿易協定に反対して立法院の占拠を続けている学生グループのリーダー、林飛帆氏(台湾大学政治系研究所)は7日午前、早ければ同日夜にも今後の運動方針について発表すると表明した。王金平立法院長が6日、占拠事件後初めて立法院を訪れ、協定を監督する条例の立法化を優先し、それまではサービス貿易協定をめぐる与野党協議を行わないと発言。立法院からの撤退に道を開いたとみられている。


立法院長(左)は林飛帆氏(右)に、監督条例優先を約束した一方で、立法院からの撤退を呼び掛けた(6日=中央社)

 王立法院長は監督条例優先発言について事前に総統府や国民党立法院議員団に知らせておらず、林鴻池・同党政策委員会執行長は「非常に驚いた」と発言。費鴻泰立法委員(台北市)は王立法院長から電話を受けた際「議員団全員が裏切られた思いだ」と抗議したことを明らかにした。国民党は依然、立法院今会期で監督条例とサービス貿易協定の並行審議を行うとの立場で、このため学生グループの一部からは「国民党立法委員全員から『サービス貿易協定審議は監督条例立法化後』への同意を取り付けるべきだ」との声も出ている。王立法院長の約束で撤退の潮時を迎えたという声もある一方、撤退すれば交渉の重要な手駒を失うとの懸念もあるという。

撤退促す策略か

 王院長発言について国民党の蔡正元立法委員(台北市)は、監督条例優先を約束したのはあくまで「与野党協議の前」であり、学生の求める「サービス貿易協定の審議前」でなかったことが鍵だと指摘した。発言によって世論が学生撤退に傾く効果が期待できる一方、協定の審議は与野党協議を経ずとも国民党が一方的に委員会に付託、条文ごとに審議できるためで、国民党と異なる立場を示して誠意を見せたように振る舞った一方で、真の目的は学生らの撤退を促す目的があったという。ただし、同党幹部はこうした見方を否定している。騙し討ちのような手法を取った場合、野党民進党が審議拒否を貫き、委員会審議が不可能になるためだ。

政府版・民間版共に運営委へ

 行政院は連休前の3日、中台間の協定を監督する条例「両岸協議処理及監督条例」の草案を閣議決定した。国民党は、学生グループが支持する民進党立法委員が提案した「民間版」監督条例と共に8日開かれる立法院程序委員会(議会運営委員会)への送付を経て、委員会への迅速な付託を目指す考えだ。

今会期の承認可能性なくなる?

 一方、王立法院長が「監督条例優先」を打ち出したことで、サービス貿易協定の承認が今会期(延長して6月末まで)中に行われる可能性はほぼなくなったとの見方が出ている。こうした中、張家祝経済部長は7日、「今後大陸(中国)との物品貿易協定締結、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)加入に向けては、まずサービス貿易協定を通過させなければならない。日中韓自由貿易協定(FTA)やTPP、RCEPはわれわれを待ってくれない」と改めて危機感をにじませた。