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作成日:2008年1月16日_記事番号:T00005009
クジラの漂着死体、台南県で観光利用を計画
毎年のようにクジラやイルカが海岸に漂着する台南県北門郷で、マッコウクジラの死体を地元で標本保存し、観光産業の振興に役立てようという動きが出ている。
北門郷沿海に55トンの巨大なマッコウクジラが着岸したのは、2006年12月末のことだった。クジラは発見された時にはすでに死亡していたため、クレーン3基で釣り上げその場に埋葬。1年後に掘り出し骨格標本を作る計画で、国立歴史博物館への寄贈が決まっていた。
1年が経過したことから、来週にも死骸が発掘される予定だったところ、地元から「待った」の声が。洪明農北門郷長を筆頭に、台南県議員や地元代表者らが14日、マッコウクジラを観光資源の乏しい地元の活性化に役立てるよう、蘇煥智台南県長に陳情に訪れたのだ。
洪郷長らは、北門郷はマッコウクジラの重要な生態地域であり、かねてから緊急救助センターを併設したクジラ博物館を設立するのが夢だったと主張。今回クジラが漂着した位置は、ちょうど台湾最大規模の王爺廟である「南鯤身代天府」の正門前方に当たることから、これは神仏の意図するところで、よそに寄贈するなどもってのほかと訴えた。
蘇県長は郷長らの陳情を受け入れる考えで、寄贈を取り止めるため、国立歴史博物館との交渉に同意。ただ、標本制作には500万台湾元(約1,650万円)、博物館建設には1,500万元の経費がかかり、県の財政でまかないきれる範囲ではないのも事実だ。
経費問題が解決し、クジラが観光の目玉として地元の発展に一役買えばよいのだが…。