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台鉄の老朽列車から発火、進まぬ車両更新が浮き彫りに


ニュース 社会 作成日:2014年5月5日_記事番号:T00050104

台鉄の老朽列車から発火、進まぬ車両更新が浮き彫りに

 今月1日の早朝、運行中の台湾鉄路(台鉄)の急行列車「莒光号」から、突然車両の配電盤が焼ける事故が発生し、約250人の乗客に影響が出た。発火した列車は車齢45年の老朽列車だったことからうかがえるように、トラブルの背景には長年課題となっている車両の更新問題がある。

 1日午前6時56分、新竹駅に到着した莒光号の5両目車両から突然煙が上がり、辺りに異臭が充満した。これを受けて列車長は直ちに同車両に乗っていた乗客をプラットホームに避難させて点検を行った結果、クーラー用配電盤ケーブルの老朽化が原因で過熱状態となり、発火したと認められた。

 その後、運行不能と判断された同車両を残し、他の車両は52分遅れで高雄駅に向けて出発した。同列車に乗っていた乗客約250人には運賃が全額返却された。

 台鉄の柳燦煌機務処長は、事故を起こした車両と同タイプの39両に対し、再検査を行ったとした上で「台鉄車両は座席を含め燃えにくい材質を使用しているため、ケーブルの過熱が大規模な火災につながることはない」と強調した。

 交通部の范植谷次長によると、現在運行している台鉄の客車2,200両のうち、5分の1に当たる約400両で更新が必要となっているが、運賃の値上げが難しいことなどから台鉄は財政難となっており、更新作業は遅れているのが現状だ。

 しかし今回の事故を受けて更新作業のスピードアップが図られる見通しで、柳機務処長は「今後は大量調達に有利なように車種や部品の画一化を進める」と語った。

 なお今回の事故については「十数年前の不祥事の後遺症」との声も上がっている。当時、準急に当たる「復興号」112両の「莒光号」への改造が計画されたが、請負業者が米製造メーカーの部品ではなく、中国製部品を使用していたことが発覚。実際に改造が完了したのは39両にとどまった。

 これにより莒光号が不足する事態となり、各車両が「長時間勤務」を強いられることになったという。今回、発火した車両も24時間勤務の途中だった。

 いずれにせよ乗客の安全を最優先に車両を運行してもらいたいものだ。