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ソフトバンク、台湾LTE市場参入か


ニュース 電子 作成日:2014年5月5日_記事番号:T00050129

ソフトバンク、台湾LTE市場参入か

 5日付経済日報が観測を基に報じたところによると、ソフトバンクが中堅通信キャリア、亜太電信(アジア・パシフィック・テレコム)に出資し、台湾政府が進める2.6ギガヘルツ(GHz)帯の周波数再割り当ての競争入札での提携を計画しているもようだ。亜太電信をめぐっては鴻海精密工業が110億~140億台湾元(約370億~470億円)で買収し、第4世代移動通信(4G)サービス事業への参入準備を整えると報じられているが、ここにきてソフトバンクが鴻海のライバルに浮上したもようだ。

 ソフトバンク、鴻海との観測に関して亜太電信の遅煥国総経理は「ノーコメント」としている。

 観測によると、ソフトバンクは既に亜太電信側に投資計画書を提出したとされる。亜太電信は身売り意向を表明しており、先ごろ大株主が1株当たり15~19元で売却する意向との見方も伝えられた。

 今週にはソフトバンクモバイルの松本徹三・取締役特別顧問が訪台し、亜太電信の邱純枝董事長、遅総経理と交渉を行うとみられている。

TDD方式使用で興味

 ソフトバンクが台湾市場に興味を示したとされる背景には、2.6GHz帯の周波数で、データ通信の際に上り、下りでそれぞれ異なる周波帯数を使用する「FDD方式」と、同じ周波帯を利用する「TDD方式」の2種類を平行して使用する方針を固めたことがある。

 現在世界では、FDD方式を欧米各社が、TDD方式は中国携帯電話キャリア最大手、中国移動通信(チャイナ・モバイル)、ソフトバンクが主導しており、ソフトバンクはTDD方式拡大を狙うため、米スプリント・ネクステルの買収による米国市場攻略に続いて、台湾市場に目を付けたと見られている。

 亜太電信は、台湾唯一のCDMA業者であり、台湾でも間もなく始まる4Gサービスの事業資格も獲得している他、▽ユーザー数、209万件▽基地局、約3,000基▽台湾全土での固定ブロードバンド──を有しているなどの条件が、提携相手として興味を引いたようだ。

 なお、松本取締役特別顧問は、台湾訪問中に亜太電信以外にもWiMAX事業社の全球一動(グローバル・モバイル)の何薇玲董事長にも面会すると伝えられている。

台湾之星にリード許す

 一方、同日付工商時報は、鴻海が傘下の国碁電子(アンビット・マイクロシズテムズ)を通じて亜太電信の株式を買収し、経営権を握る意向と報じた。亜太電信は、台湾鉄路(台鉄)や兆豊金融控股(メガ・フィナンシャル・ホールディング)など政府関連企業が株式の約22%保有しており、鴻海はこれらを狙っているという。

 アンビットも4G事業資格を獲得したものの、鴻海陣営は3Gネットワークを持たないため4Gサービスの開始スケジュールの遅れが指摘されており、亜太電信の条件は魅力だ。しかし、ソフトバンクの出資観測によって、鴻海の計画に狂いが生じる可能性も出てきた。なお、同じく新規参入組の台湾之星移動電信(台湾スター)は先ごろ威宝電信(ビボテレコム)の買収が確定し、鴻海陣営を一歩リードしている。

 亜太電信は身売り先について複数の業者と交渉中で、15年にも決定するとの見方を示しており、9日に予定される董事会までに何らかの動きがある可能性もある。 

【表】