ニュース その他分野 作成日:2014年5月13日_記事番号:T00050299
上場・公開企業で給与水準が低い会社名を公開する計画を金融監督管理委員会(金管会)が検討していることが明らかになり、「行き過ぎ」との批判が相次いでいる。若年層の低賃金問題で、賃上げを促す政策の一環だが、世界に同様の例はなく、企業への名誉毀損(きそん)で政府が賠償請求される可能性もある。このため実現に至るかは不透明だ。13日付蘋果日報などが報じた。
低賃金企業の名前が公表されたら、労働者がそうした企業を次々に辞める事態が起きかねない(中央社)
同計画は曽銘宗・金管会主任委員が12日、立法院財政委員会が台湾証券交易所(証券取引所)を視察した際、立法委員に対して実施方法の検討を約束した。
曽主任委員は、上場企業の情報公開ルールを定めた「公開上市資訊掲露管理弁法」に基づいて検討可能と発言。ただ、低賃金企業の公表は世界的に前例がないため、その方法や対象、時期など詳細はこれから詰めていくとした。
金管会は現段階で公表対象として、▽各産業における平均賃金下位3社▽賃金が産業平均より低い企業▽長年賃上げを実施していない企業▽従業員の平均所得が最低賃金と長年大差ない企業▽賃金の下げ幅が過度に大きい企業──を想定しているようだ。
林火灯・台湾証取総経理は、企業の賃金情報や賃上げ記録から、賃金が相対的に低い企業を調べるのは容易で、金管会の政策がまとまれば公表に踏み切れると述べた。
企業の再起阻む
ただ、同計画に対しては懸念の声が多々挙がっている。
政治大学労工研究所(大学院)の成之約教授は、利益の薄い企業は賃上げが困難で、労働基準法に違反もしていないのに「賃金が低い」というだけで公表するのは当該企業の社会的イメージを損ない、苦境に陥った企業に対し再起の機会を奪うと指摘。この他、「法律に『低賃金は犯罪』との記載はなく、賃金形態が合法の企業も公表対象になるのは問題」という声も出ている。
弁護士の林石猛氏は、賃金は労使間の合意の下で取り決める契約であり、労働基準法に違反したり最低賃金に満たない限り、政府が企業の賃金事情に首を突っ込む資格はないと指摘した。同じく弁護士の温令行氏も、低賃金企業の公表で利益が少なく賃金が低い産業で人出不足が連鎖的に発生し、政府の産業発展政策がバランスを欠いたものになりかねないと懸念を表明した。
優良企業は8月公表へ
金管会はもともと、企業の賃上げを促すため、低賃金企業ではなく、▽過去数年で適度に賃上げ実施している▽収益を上げている▽労使紛争がない──などの条件を満たす優良企業100社を8月に公表するよう台湾証取に求めていた。こうした企業の公表は同じ業界の企業にとって参考や励みになるが、低賃金企業をも発表するとなると、やはり行政側の行き過ぎと指弾を受けざるを得ないだろう。
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