ニュース その他分野 作成日:2014年5月15日_記事番号:T00050356
南シナ海の領有権をめぐるベトナムの対中抗議活動で騒乱が広がり、台塑集団(台湾プラスチックグループ)は南部の2社が攻撃されたのに続き、中部ハティン省の大型製鉄所で14日、従業員同士のトラブルから2人が死亡し、夜には暴徒が侵入、高炉付近で2件の放火が起きたと伝えられた。台プラグループは「まるで無政府状態だ」とベトナム政府の対応を批判し、今後のベトナム投資計画について、新規、追加ともに見合わせを検討する考えを示した。15日付蘋果日報などが報じた。
ある台商は工業団地の9割近くが燃やされたと話した。被害額は数十億米ドルに上るとの推計もある(14日=中央社)
台プラグループは現地の台商(海外で事業展開する台湾系企業)で最も被害が大きい。ベトナム子会社、台湾興業の総経理を務める台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー)の洪福源総経理は、ドンナイ省の台湾興業、ロンアン省の福懋興業(フォルモサ・タフタ)の工場だけでなく、従業員寮まで破壊、略奪されたと話した。警察に通報しても人員が手薄なため対応してもらえず、暴徒は午前4時まで引き揚げなかったと指摘し、ベトナム政府は外資を守ってくれないと嘆いた。台湾興業 は稼働停止により1日当たりの損失が少なくとも7,000万台湾元(約2億3,600万円)を超える。
中国時報によると、ハティン省の大型製鉄所では14日午後、ベトナム人と中国人の労働者それぞれ約2,000人の間で衝突が起こり、中国人幹部2人が殴り殺された。夜には暴徒数百人が押し入り、中国人とベトナム人100人近くがけがをし、火災が2カ所で発生したとされる。台プラグループは、確認できていないとしている。
中央社は15日、ハティン省の医者の話として、同省の暴動でベトナム人労働者5人と中国系とみられる16人の計21人が死亡したと伝えた。
暴徒による不法侵入、暴力、工場やオフィス、宿舎の破壊、略奪に遭った台湾企業は、上場・店頭公開企業30社以上を含めベトナム全土で数百社に上るとみられる。
経済部、求償を検討
ベトナム政府関係者や国営メディアによると、南部ビンズオン省の工業団地では14日、警察が放火や窃盗の現行犯で500人を逮捕し、暴動を鎮圧した。現在は警備を固めている。
同省のレ・フック・ホア外事局長は同日、台商数十人が避難するミラホテルを訪れて謝罪を表明し、損害を報告するよう求めた。工業団地で台商向けサービスセンターを担う肯信集団の郭毓庭董事長は、ベトナム政府なら現金による補償ではなく、優遇減免措置の方が可能性があると述べた。
台湾とベトナムは1993年に投資保障協定を締結している。経済部投資処の連玉蘋処長はこれまで大きな事件はなかったが、今回は台商の損害賠償請求を検討すると述べた。
金融監督管理委員会(金管会)によると、上場・店頭公開企業105社がベトナムに投資し、金融機関20社がベトナムに拠点を設けており、リスクエクスポージャーは793億元だ。
渡航警告、再引き上げ
外交部は14日、ビンズオン省とドンナイ省の渡航情報を「オレンジ色(不要不急の渡航を控える)」に引き上げた。2日連続の引き上げだ。
交通部観光局の統計によると、台湾からベトナムへの昨年の旅行者は延べ36万1,957人、今年1~3月は9万4,359人で、南部は8~9割がビジネス目的、北部は9割が観光ツアー参加者だ。
【表】
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722