ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

対中開放・経済法案を強力推進、国民党が表明


ニュース 政治 作成日:2008年1月16日_記事番号:T00005038

対中開放・経済法案を強力推進、国民党が表明


 郭素春国民党立法院党団書記長は15日、選挙による立法委員の改選を経た2月以降の立法院で、対中経済開放および民生関連の法案を優先的に審議・成立させていく考えを示した。選挙で全113議席中81議席の絶対多数を獲得し、思い通りの議会運営が可能になった国民党が経済振興に意欲的に取り組む姿勢は評価を受けるであろう反面、対中関係でアクセルを踏みすぎるのではないかという懸念も生む。民進党の総統選公認候補、謝長廷氏は「自分が当選すれば、バランスを取ることができる」とアピールを始めた。

T000050381

立法委員選大勝の際の郭書記長。いつもは「陳水扁!」と非難の怒り顔ばかりだが、さすがに満面の笑みだ(中央社)

 郭書記長は、対中経済関係で緩和すべき項目として、「直航、金融持ち株会社の対中投資、企業の対中投資額の上限規制緩和、中国人観光客受け入れの開放」を挙げ、それぞれ意欲的に立法に取り組むとした。16日付経済日報によると、国民党が新会期で優先法案と位置付けるのは、▽両岸人民関係条例改正草案▽産業高度化条例改正草案▽労働基準法改正草案▽労工保険条例改正草案▽農村再生条例草案▽政治献金法改正草案▽立法院職権行使法改正草案──など。

 現在積み残しとなっている法案は、慣例ではいったん行政院の各部(省庁)が内容を見直して新会期の立法院に提出することになっているが、国民党は法案成立を速めるため、行政院の再審議を待たずに、必要な場合は議員立法を行っていく構えだ。同党は、「民生・経済関連の予算と法案を優先させ、統一・独立や住民アイデンティティにかかわる争いは棚上げする」と語る。立法院で経済振興と社会の安定に取り組む姿勢を強くアピールし、総統選で公認候補である馬英九氏の当選につなげたい考えだ。

「絶対多数は民意」=馬候補

 馬候補は15日、国民党が立法院の絶対多数を獲得したことについて、「批判もあるが、武力で取ったものではなく、民主的プロセスで得られたもので民意の反映だ」と語り、正当な結果であることを強調した。

 経済政策については、財政収支画分法を改正して営業税収入の大部分を地方政府に提供することや、1,000億元(約3,300億円)規模の地方財政再建基金を設立して地方政府の債務償還に協力すること、300億元規模の観光発展基金を設けて地方の観光と産業を発展させることなどを語った。また、「政治のかせを取り払って、経済規制を全面的に緩和し、域内総生産(GDP)成長率6%などの公約を実現する」と強調した。

 対中政策では、任期が2期8年となった場合、中国と統一問題について協議しないことを改めて示し、経済協力協定や平和協定を結んで共存共栄を目指すと語った。

「社会の安定に協力」=謝候補
 
 国民党は再三、「立法院の多数を乱用しない」と表明しているものの、総統に馬候補が当選した場合、チェック機能が全くはたらかなくなる懸念がある。対中関係のあり方は住民の間で意見の隔たりが大きく、慎重な対応が求められる。

 謝候補は15日、台湾メディアに対し「バランスを取ろうという力が必要だ。私が当選してこそバランスが取れ、社会が安定する」と語った。

 当選しても立法院から大きな制約を受けることについては、「総統の職権を慎重に行使する」と表明。対中政策は総統の職権だが、実行に当たるのは行政院だ。行政院が立法院の監督を受けるため、「自然に協力が成り立つ。私は協力する」と立場を説明した。

 謝候補は同日、独立派の長老格である辜寛敏元総統府資政や、黄昭堂台湾独立建国聯盟主席と相次いで会談した。

 辜氏は選挙結果について、「有権者は民進党に教訓を与えようとしただけなのに、手足を折ってしまった」と分析した。謝候補と黄主席は、「国民党の大勝で、有権者の危機意識が呼び起こされたはずだ」という認識で一致した。黄主席はまた、「批判の時期は過ぎた。すべての独立派が協力して謝候補を支持しなければならない」と強調した。