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氏名長過ぎで旅券申請却下、先住民歌手が外交部批判


ニュース 社会 作成日:2014年5月22日_記事番号:T00050469

氏名長過ぎで旅券申請却下、先住民歌手が外交部批判

 台湾には17世紀ころに中国から移民が訪れる前から暮らしていた先住民の子孫が今年1月時点の統計で53万4,000人(総人口の2.28%)いる。政府は16部族を認定し、多くの先住民が今なお代々伝わる風習、文化を継承し生活を営んでいる。そんな中、ある先住民男性歌手が、旅券(パスポート)を申請した際、氏名が長過ぎるとして申請を却下されたことが明らかになった。

 先住民歌手、舞炯恩さんは自身のフェイスブックにこの事実を投稿し、「自分の氏名なのに何の問題があるんだ」「先住民を軽視している」と外交部を痛烈に批判した。

 舞炯恩さんによると、母親が代理で外交部にパスポートを申請した際、申請用紙の氏名欄に先住民の伝統に基づき付けられた本名の「舞炯恩・加以法利得」を記入して提出した。しかし、申請用紙を受け取った窓口の職員は「長過ぎるため確認が必要」と母親に戸籍謄本の提出を要求した。それでも、職員は長過ぎて印字できず出境時は台湾式の氏名を使用するのが望ましいと伝えたという。

 先住民は台湾式の氏名以外に各部族の伝統に基づいた氏名を付けることが認められており、身分証にもその通り記載されている。欧米式に名、姓の順で名乗るが、一部部族では姓に父親または母親の名前を加える文化があるため、姓が長くなりがちだ。

 外交部幹部はこれに対し、パスポートの氏名欄は漢字ならびにアルファベットで表記しているが、身分証や戸籍謄本などを基準に受け付けていると説明。戸籍通りの本名を使うのが望ましいとしたものの、氏名欄のスペースには限りがあり、規定の文字数を超えた場合は、文字を小さくするしかなく、出境先で入境が認められない場合があると状況を語った。

 また、ここ数年先住民が本名で申請するケースも増えているが、外交部のパスポートシステムは数十年前に導入したもので、先住民の長い名前に対応するには新システムに買い換えなければならないと強調。同様のケースは個別に判断することになるが、基本的には申請者の意向を尊重すると述べた。

 なお、舞炯恩さんはなんとか本名でパスポートを取得できたが、氏名欄の姓と名が逆だったそうで、「もっと名前に敬意を払ってくれ!」と不満を漏らした。