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無差別殺人で沈む社会を癒やそう、暖かい心を伝える人々


ニュース 社会 作成日:2014年5月26日_記事番号:T00050526

無差別殺人で沈む社会を癒やそう、暖かい心を伝える人々

 台北都市交通システム(MRT)板南線で起きた無差別殺人事件の衝撃で、社会に重苦しい雰囲気が漂う中、市民が受けた心の傷を癒やそうとする動きが出ている。

 事件の影響で登校や出勤の交通手段を自家用車やバスに切り替える市民が増え、台北MRTの利用者は事件翌日には普段の3分の1に減り、最近では回復傾向にあるものの、依然事件前の利用者数には程遠い状態だ。

 列車内の様子にも変化が生じている。スマートフォンを触ったり、居眠りをしたりする乗客はほとんど見られず、緊張した面持ちで周囲をうかがう乗客が増えたのだ。

 こうした中、事件前の台北を取り戻そうと、大学生約100人が「TRUST TAIPEI、勇気を出してMRTに乗ろう」運動を立ち上げた。同組織は今後、1万着の「台北公民」Tシャツを大学生を中心に無料配布する計画だ。

 メンバーの1人、台北大学の周冠伶さんは「全ての車両に警備員を配置することは不可能な中、多くの学生がTシャツを着てMRTの各路線に乗れば、他の乗客を勇気付ける効果はある」と説明している。

 また、重く沈んだ列車内の空気を歌や楽器の演奏で和ませようとする若者も現れた。事件後、撮影関係の仕事に従事する賀禎禎さんら面識のない4人が結成したバンドは24日以降、江子翠駅を通過する列車内で10回以上演奏を行った。女性メンバーの「小暖」さんは「演奏後に乗客に笑顔が浮かぶのを見てやってよかったと思った」と話した。

 このほか、列車内で花を配る者、駅構内で「フリーハグ」活動を行う者も出現。さらに江子翠駅には慰問の花が続々と送られたり、事件後にMRT内に増員配置された警察官のバイクに「ごくろうさま」と書かれた付せんが貼り付けられたりと、多くの市民が暖かい心を伝えようと行動を起こしており、台北が元の明るい姿を取り戻せるのも遠くないかもしれない。