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元日本人移民村の鹿野神社、現代によみがえる


ニュース 社会 作成日:2014年5月29日_記事番号:T00050616

元日本人移民村の鹿野神社、現代によみがえる

 台東県鹿野郷龍田村に日本統治時代に存在した鹿野神社を復元する計画が進められており、台湾で初めて日本の神社を復元するケースとなるため注目を集めている。

 龍田村は当時、サトウキビ栽培のために新潟や長野から移民が入植した。1923年に建てられた鹿野神社には社殿と鳥居があったが、時間の経過で損傷が激しくなり、現在では石の台座が残るのみ。神社としての面影は全くなく、涼み台として使われている程度だ。

 今年2月、交通部観光局の花東縦谷国家風景区管理処(縦管処)が、625万台湾元の予算をかけて社殿と鳥居、石灯籠、砂利道の復元に着手、年末の完工を目指している。工事は日本統治時代に台湾で農業水利事業の発展に貢献した八田與一の住宅を復元した実績のある会社に委託した。

 工事をめぐっては地元住民が神社の復元に伴い90年の歴史を誇る貴重な台座が壊されるのではないかと懸念したが、縦管処によると台座は残す方針で、破損した部分を修復、補強し、外観はセメントと砂に水を加えて練り上げたモルタルで処理するにとどめる。

 社殿の復元は日本から建築士を招いて知恵を借り、本来の姿を再現する他、鳥居も神社の設計を専門に手掛ける日本人設計士から教えを請う。鳥居の復元には日本産の最高級ヒノキを使用するとのことだ。鳥居はもともとあった場所に建てる予定だったが、住民が希望する場所での建設も検討するという。

 神社は台湾に残存する貴重な日本ゆかりの場所の一つで、鹿野神社復元後は、同じく日本統治時代の小学校の校長宿舎、託児所、区役所など周辺スポットと共に、龍田村の歴史感あふれる空間を織り成す。名物スポットの新たな誕生で観光振興への貢献が期待され、訪れる日本人も増えそうだ。