ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

遠雄集団が桃園副県長に贈賄、余罪を捜査


ニュース 建設 作成日:2014年6月3日_記事番号:T00050695

遠雄集団が桃園副県長に贈賄、余罪を捜査

 遠雄企業団(ファーグローリー・グループ)の趙藤雄董事長は1日、桃園県の八徳・合宜住宅(低価格住宅)建設工事の入札をめぐり、葉世文・桃園県副県長に対する1,600万台湾元(約5,400万円)の贈賄を認めた。これに先駆け法務部廉政署は30日、葉副県長(同日解任)の自宅と副県長室で1,820万元を押収した。呉志楊・桃園県長は2日、八徳・合宜住宅における遠雄グループとの契約を解除し、葉元副県長が関わった143件を見直すと発表した。遠雄グループは政府の開発案件を数多く請け負っており、余罪が発覚すれば各種開発計画の遅れも懸念される。3日付蘋果日報などが報じた。


勾留される趙董事長(中)。2年前に社内で「金銭で解決すればいい」と発言したとされ、当時から贈収賄が常態化していた可能性がある(2日=中央社)

 廉政署は、今年1月から八徳・合宜住宅を推進する葉元副県長が蔡仁恵・元台北科技大学教授を通じて遠雄グループの魏春雄副総経理と接触しており、4月に遠雄グループが12億9,500万元で落札したことに注目した。29日、蔡元教授がスーツケースを持参して遠雄グループの本部を訪問した後、台北市の日本料理店で葉元副県長と面会し、帰りには葉元副県長が蔡氏のスーツケースを自宅に持ち帰ったことを確認。検察が30日早朝から捜査に入ったところ、葉元副県長の自宅で1,700万元、桃園県政府の副県長室で120万元の現金を発見した。遠雄グループでは1,600万元の出金記録などが見つかった。

 遠雄グループの許自強・財務副総経理(20万元で保釈)、周銘宏・合宜住宅責任者(10万元で保釈)は、趙董事長、魏副総経理から蔡元教授に5月中に1,600万元を支払うよう指示を受けたと供述。蔡元教授は葉元副県長に1,600万元を渡したと認めており、残り220万元の出どころは調査中だ。

趙董事長、2カ月の勾留

 検察は30日夜、葉元副県長、蔡元教授、遠雄グループの趙董事長、魏副総経理の接見禁止付きの勾留を請求した。趙董事長、魏副総経理は31日未明にいったん保釈金500万元、100万元で保釈されたものの、その足で会社に向かい幹部会議を開催した他、一部幹部がスマートフォンのチャット記録を削除。廉政署は1日、遠雄グループが処分場に焼却を依頼した書類69箱を差し押さえた。こうしたことから、台北地方法院は2日未明、証拠隠滅の恐れがあり、逃亡する財力もあると両者の保釈を取り消した。両者の弁護士は不服を申し立てたが、台湾高等法院は3日未明、これを棄却し、両者は2カ月の接見禁止付き勾留が確定した。最高7年の懲役が下される可能性がある。

 この他、葉元副県長のかつての部下の女(40万元で保釈)は、葉元副県長に銀行口座を提供したマネーロンダリングの疑いが持たれている。銀行口座には2,500万元の不明金が見つかり、葉元副県長が長期にわたり賄賂を受け取っていた可能性がある。

林口・合宜住宅も、暴利200億元

 仲介役を務めた蔡元教授は、葉元副県長が内政部営建署長だった当時に林口・合宜住宅の開発計画でも遠雄グループに賄賂を要求していたと供述した。林口・合宜住宅は営建署が入札募集を実施し、遠雄グループなど4社が落札。台湾桃園国際機場捷運(桃園国際空港MRT)A7駅(桃園県亀山郷)周辺に位置し来年完工予定となっている。

 段宜康立法委員(民進党)は、林口・合宜住宅は土地の取得コストが77億元足らずなのに少なくとも328億元で売れるため、開発業者は200億元以上の暴利を得ると指摘した。

 遠雄グループは八徳、林口・合宜住宅の他、台北市政府の台北文化体育園区(通称・台北ドーム)や国防部の都市再開発計画などにも参画している。

公営住宅開発、賃貸のみに

 内政部は1日、分譲型の合宜住宅の新規計画は行わず、今後は社会住宅(賃貸住宅)を推進すると表明した。大台北地区(台北市、新北市、基隆市)は土地を確保しにくいためと説明した。一方、地方政府が需要に応じて合宜住宅を建設することには、多様な住宅政策を推進する立場から、肯定的な姿勢を示した。

 3日の台湾株式市場で、遠雄建設事業(ファーグローリー・ランド・デベロップメント)が前日比3.5元安の46.5元となるなど、遠雄グループ関連株は全面ストップ安に陥った。

【表】