ニュース 自動車・二輪車 作成日:2014年6月6日_記事番号:T00050779
独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は5日、台湾に来年1月、完全子会社を設立すると発表した。台湾市場での販売台数はここ数年1万台前後で推移しており、販売体制の強化により、3年以内に1万5,000台、将来的には市場シェア1割を目指す。注目の工場設置計画については、中台間の物品貿易協定が調印された後、内容を評価した上で判断したいと慎重な立場を示した。6日付工商時報などが報じた。
蘇執行副総裁は北京からのインターネット中継で子会社設立計画を発表した。VWグループは中国でシェア22%の圧倒的1位を誇る(5日=中央社)
VWグループの蘇偉銘・執行副総裁兼大中華区・アセアン商業営運総裁によると、台湾子会社はVW、VWコマーシャルビークル、シュコダの3ブランドの代理権を太古標達汽車から回収し、直営のアウディを加えた4ブランドを統括する。投資額など詳細については第4四半期に明確にするとした。
子会社設立を決めた理由として、過去4年間の商用車も含めた新車販売台数が安定的に約1万台以上を維持していることを挙げ、「台湾市場に直接参入する良い時期と判断した」と説明した。子会社設置によりドライバーの需要を直接つかめることが期待でき、販売車種を増やしたり、コンセプトカーや中古車の導入などによって販売台数の拡大を図る構えだ。
なお太古標達汽車は今後、VWの重要ディーラーとの位置付けとなる。蘇執行副総裁は、海外市場でのVW車の販売など、協力関係はさらに深まると説明した。
ECFA遅れで計画進度落とす
VWは4年前の2010年6月、台湾での生産工場計画が報道され注目を集めた。その後、裕隆汽車製造(ユーロン・モーター)への生産委託観測も出たが、結局今日まで台湾での生産は実現していない。
これについて蘇執行副総裁は、当時、海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)の締結により、台湾から中国への完成車輸出でゼロ関税を享受できる他、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の自由貿易協定(ACFTA)により、中国経由でアセアン市場への輸出も見込めるため、台湾工場の設置を真剣に検討したことがあると明かした。しかし、ECFAは完成車が盛り込まれるとみられる中台物品貿易協定の、前段階のサービス貿易協定の議会承認が進んでいない状況で、工場設置計画の進度を落としたと説明した。
蘇執行副総裁はまた、台湾工場が実現した場合、自動車部品も台湾企業から調達すると説明。台湾がVWの世界展開における重要な調達拠点となれば、台湾経済の発展にもプラスになると強調した。
一方で「台湾の税金や人件費を考えれば、台湾での完成車生産コストは輸入コストより低いわけではない」と指摘し、規模の小さな台湾市場開拓のためだけに工場を設置するのはあり得ないとの見方を示し、VWグループがインドネシアかタイにアセアン第2の工場設置を検討しているとも明らかにした。工商時報は、台湾が他国とのFTAを推進しない場合、VWの投資を失うことを暗示していると警鐘を鳴らした。
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