台南市で宝くじ店を営む男性店主は、ある常連客に「一定額の宝くじを毎日購入してほしい」と依頼されていた。そしてその客のために購入したくじでこのほど見事、賞金800万台湾元の１等が当せんした。これほどの大金を目にすれば、こっそり当たりくじを入れ替えてわが物にしたくなるもの。しかし、店主は誘惑に負けることなく、正直に顧客に当せんを通知。しかもこの顧客は以前にも店主に代理購入を頼んで1,000万元を当てており、黄さんを「史上最も誠実な宝くじ店主」とたたえる声が上がっている。

　「史上最も誠実」な店主は、台南市永康区で13年にわたり宝くじ店「金鑽彩券行」を経営する黄嘉君さん。そんな彼は４年ほど前、飲料販売業を営む女性常連客から「コンピューターに数字を選ばせる方式でロトくじ（数字選択式宝くじ）を毎日500元分購入してほしい」と頼まれ、１週間ごとに決済するようにしていた。

　このやり方を続けて１年ほどが過ぎた３年前、この顧客のために購入したくじで1,000万元が当せん。黄さんが電話でその旨を顧客に知られたところ、本人は信じ、来店して自分の目で確かめてようやく喜びを爆発させたという。

　そして800万元が当たった今回も、同じように電話で顧客に連絡したものの本人からは「冗談でしょ？きょうはエイプリルフールじゃないわよ」と信じてもらえなかった。あれこれと証拠を示して初めて「３年で２回も１等が当たるなんて」と歓喜の声を上げたそうだ。

　「当たりくじを自分のものにしようとは思わなかったのか？」と聞かれた黄さんは、これについても正直に「『邪念』がよぎったことはある」と告白、その上で「一生後悔して過ごすことになると思い直し、本当の当せん者に連絡した」と明かした。

　黄さんを通じて２度も１等を引き当てた女性顧客は、「彼は誠実な上に幸運を運んでくれる」と賞賛し、今後も購入を依頼し続けると語った。