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ロボット・ウエアラブルデバイス、鴻海がクラウド戦略の新ターゲットに


ニュース 電子 作成日:2014年6月26日_記事番号:T00051175

ロボット・ウエアラブルデバイス、鴻海がクラウド戦略の新ターゲットに

 鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は25日の株主総会で、現在80%の時間を今後5年の製品計画に充てていると明らかにした上で、ハードウエア生産偏重のビジネスモデルから脱却を図り、パソコンやテレビなどの電子製品とインターネット、クラウドの融合を目指す「8屏1網1雲計画」について、デバイスの「8屏」にロボット、ウエアラブルデバイス(装着型端末)、電気自動車(EV)を追加して「11屏」に拡大すると表明した。いずれも需要増が見込め、業績成長への貢献を期待する分野だ。26日付経済日報などが報じた。

 郭董事長はこのうちロボットについて、鴻海が生産を手掛けるソフトバンクのヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」に触れ、「ペッパーがすごいのはハードではなく、その背後にあるソフトだ」と指摘。その上で「ペッパーのようなロボットは、将来、人類の生活にとり重要なプラットフォームとなる。ウエアラブルデバイスよりも将来性が高い」との認識を示した。

 ウエアラブルデバイスについては、「医療分野と連結しなければただの装飾品にすぎない」と語り、「現在は話題性が高いだけの段階にとどまっており、本格的な需要の伸びには数年かかる」と予測した。

 郭董事長はまた、今年のグループの増収目標について前年比15%増という数字を示した上で、増収幅、増益幅も10%以上達成に自信があると語った。

 郭董事長はまた、もし鴻海ならば、米テスラモーターズとの提携でEVを1万5,000米ドル(約45万台湾元)で作れると豪語した。テスラのEVは1台200万~300万元(約680万〜1,020万円)で発売後すぐ中国の富豪に人気となっている。郭董事長のこの発言は中国の比亜迪(BYD)に対する宣戦布告とみられている。

「イノラックスを世界2位に」

 傘下の液晶パネルメーカー、群創光電(イノラックス)について郭董事長は、「現在の世界3位から2位へ向けてまい進する」と意気込みを示した。現在液晶パネル業界は1位がLGディスプレイ(LGD)、2位はサムスン電子となっており、イノラックスがサムスンを抜いて2位となった場合、台湾電子業界ではファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に続く、主要分野で「サムスン超え」を果たす企業となる。

 液晶パネル関連では、シャープとの提携に関する問題が株主の関心を集めた。これに関して郭董事長は、「(自身が個人で出資する)堺ディスプレイプロダクト(SDP、旧シャープ堺工場)は3年もたたずに黒字化を達成した」と強調。「技術も盗まず、出荷先を確保し、日本人にパネルは没落産業ではないことを証明した」と語った。

 ただ、昨年3月に事実上白紙に戻ったシャープとの資本提携で、再交渉を進めるかどうかについては、「出資の価値があるか検討する必要がある」と明言を避けた。

低価格住宅計画、新北市に土地要望

 郭董事長は先日、朱立倫新北市長を訪問して、従業員が安心して暮らせるよう低価格住宅を計画しており、鴻海の土城本部と都市交通システム(MRT)駅近くの土地を提供してほしいと要望した。計画によると、光ファイバーが使えるスマート住宅で価格は1坪15万元足らず。鴻海の従業員に45%を販売する他、外部に55%を開放する。成功すれば、苗栗、台中、高雄にも拡大する意向だ。

「民主主義は経済発展のため」

 郭董事長は先日、ヒマワリ学生運動を批判したが、この日も「民主主義の目的は経済発展であり、そうでなければ民主主義は必要ない」と発言。「学生たちが立法院を占拠していなければ台湾株式市場はとっくに1万ポイント台に乗っていた」と語り、学生たちが馬英九政権に約束させた中台協定監督条例の立法化に対しては、「条例は審議課程で監督を受けているため蛇足だ」と批判した。

 こうした「反民主」発言に対してはインターネット上で、「経済発展には独裁の方が合っている。北朝鮮に行ったらどうだ」「天朝の特使が巡視に来たので(張志軍・中国国台弁主任の訪台を指す)こびを売るつもりだろう」といった批判が相次いだ。

【表】【図】