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台塑石化、11年に製油量首位へ


ニュース 石油・化学 作成日:2008年1月22日_記事番号:T00005157

台塑石化、11年に製油量首位へ


 台塑集団(台湾プラスチックグループ)傘下の台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)が、製油所の増設によって2011年に年間製油量が2億2,000万バレル(約3,200万キロリットル)に達し、台湾中油を抜いて域内首位に躍り出る見通しだ。同集団はゴム事業にも初めて参入し、タイヤメーカーに原料を提供する。22日付工商時報などが報じた。
 
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 台塑石化の製油量拡大は、台塑集団による第6ナフサプラント(雲林県麦寮郷)の第5期5年計画(投資額1,200億台湾元、約3,900億円)の一環で、台塑石化の投資額は約900億元を占める。

 同社の年間製油量は現在1億9,000万バレルで、製油所増設で1日当たりの製油量は10万~15万バレルの増加が見込める。また、かつては廃棄物としていたコークスも再利用するなど大幅な効率化が図られる。これにより年間製油量は第5期工事完了後、2億2,000万バレルとなり、台湾中油の2億バレルを抜く。

ゴム事業、原料調達で有利
 
 初めての参入となるゴム事業も台塑石化が中心となる。

 台塑集団の幹部によると、ナフサ分解で副生成物として得られるブタジエンとポリスチレンを共重合(化学的に結合)させてゴムを生産する。

 製造を予定しているのは、ナフサ分解の副生成物として得られるイソプレンのほか、イソプレンゴム(合成天然ゴム)、乳化重合スチレン・ブタジエンゴムで、年間生産能力はそれぞれ7万トン、3万トン、24万トンだ。台プラ主要4社の合資でタイヤ生産の新会社を設立し、同社に提供していく計画だ。

 一方、中東地域ではエチレン生産にエタン分解が用いられており、副生成物を生むことはない。このため、中東の比較で言えば、台塑集団のブタジエンは今後、ゴム事業を推進する原動力としての付加価値が高まることになる。

域内唯一のゴムメーカー、ライバル出現
 
 域内唯一の合成ゴムメーカー、台橡(TSRC)の幹部は台塑集団のゴム事業参入計画に対し、「合成ゴム技術は難易度が高い。台塑集団はロシアで技術提携パートナーを探したはずで、この結果が成功の鍵となる」と指摘している。台橡は、イソプレンとイソプレンゴム(合成天然ゴム)は生産しておらず、乳化重合スチレン・ブタジエンゴムで争うこととなる。

工事開始は環境アセス通過後
 
 第6ナフサ5期計画ではこのほか、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)の炭素繊維工程拡大、南亜塑膠(南亜プラスチック)の無水マレイン酸工場など、台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー)のポリエチレン工程拡大などを計画しており、行政院環境保護署の環境評価委員会で承認を得次第、工事に着手する。