3月22日の総統選挙まで残り2カ月を切った。23日付経済日報、工商時報の両経済紙は、民進党と国民党の総統候補、謝長廷氏と馬英九氏にインタビューを行い、当選後の経済政策についての政見をまとめた。両候補とも中国人観光客の開放、減税の実施を掲げるなど、大枠で政策は似通っているが、謝候補は「主体性プラス開放性」を主張する一方、馬候補は「対中経済開放」を台湾経済の回復策の前提条件としており、根本的な部分では対中姿勢の違いが浮き彫りとなっている。
立法委員選惨敗を受け、ひたすら攻めるしかない謝候補。23日は記者会見で馬候補の直航便などについての見解を問いただした(23日=中央社)
対中投資、個別管理に移行
謝候補は対中政策における自身の姿勢を「主体性プラス開放性」というフレーズで示し、政治問題で中国を刺激、挑発はせず、企業の中国投資規制に対しても、現行の「最大で純資産の40%」から産業の実情に合わせた「個別管理」に移行させるとした。しかし、域内の失業率を悪化させる懸念から製造業の中国への完全移転には否定的な考えを示し、今後の中台間の交渉に悪影響を及ぼす懸念があるため、総統選では対中開放問題で馬候補と「ポイント争い」を行う考えはないことを表明した。
中国大陸住民に対する台湾観光開放と中台間の直航便に関しては、いずれも「開放する」としながらも、直航便は恩恵を受けるのが中国に進出する台湾企業など一部に限定されるとして、観光業をはじめ台湾の内需への貢献が期待される観光客の開放を優先する考え。
外貨準備金の運用で減税
税制については、増税を否定し、遺産税(相続税)の最高税率10%以下への引き下げやサラリーパーソン層に対する減税などを実施し、「富裕層だけではなく、あらゆる層に減税の恩恵が受けられるようにしたい」という方針を語った。
また、2009年末の産業高度化促進条例(促産条例)の期限切れ後は、太陽エネルギー産業や文化創造産業などの新産業に対し免税措置を実施する一方、「新興中小企業条例」を制定して中小企業の資金調達を支援する考えを示した。
減税、免税の財源について、謝候補は「外貨準備金を台湾株式市場で運用して捻出(ねんしゅつ)すべき」というアイディアを打ち出した。現在外貨準備金の運用には多くの規制があるため、年間の投資収益はわずか1,200億~1,500億台湾元(約3,950億~4,940億円)にとどまっているが、規制緩和を実施すればさらに増やすことが可能となり、域内資本市場、株式市場の安定・強化にも役立つとみている。
立法委員選後、馬候補は地方で有権者と触れ合うキャンペーンを再開した。「南部の住民も私を排斥するようなことはない。台湾の政治で省籍の要素は年々低下している」と語る(中央社)
1年以内に定期直航便を実現
一方馬候補は、「1992年の共通認識」(92共識、「一つの中国、それぞれの解釈」のいわゆる「中台合意」)を基礎に、中国との対話を進めることを対中政策の柱としている。「92共識」の前提に立てば中国側との歩み寄りが可能で、投資保障、ハイテク産業における規格統一など総合的な経済協力協定の締結や、平和協定締結、国際外交上の中台共存も可能だとしている。
馬候補は、総統就任後1カ月以内に現在春節(旧正月)や祝日に限って運航されている直航チャーター便を毎週末の運航とし、さらに平日運航も増やし、1年以内に定期直航便を中国側と妥結させるとしており、できるだけ早い直航便実施を目指す考え。
また、中国住民に対する台湾観光開放についても、就任後すぐにでも開放したい考えで、「開放しなければ観光業界はボトルネックが解消しない」と語る。具体案として1日3,000人の規模から実施し、年間110万人の来台を見込む。これにより600億元の商機、4万人の就業機会、失業率1ポイントの低下を期待する。
公共投資に3.9兆元
減税は馬候補も主張しており、さらに再選も含めた総統の任期8年で計3兆9,000億元の公共投資(民間投資1兆3,000億元、政府投資2兆6,000億元)を行うとしている。政府負担は年間約3,000億元となるが、年間予算の規模が1兆6,000億元であるため実現は可能で、また直航便を開放すれば、必ず外資が台湾市場への投資を活発化させるため、サービス業のみならず不動産業も活性化し、税収も上がるという見方を示した。