ニュース 社会 作成日:2014年8月6日_記事番号:T00051973
陳菊高雄市長は5日、爆発事故の被災地地下での石化物質輸送管の使用と再敷設を禁じると表明した。市民を危険にさらす都市設計は論外との判断だが、措置の拡大に応じてプロピレンを含む危険物質の運搬手段がタンクローリーに変更されれば、かえって事故の確率が高まるという指摘も出ている。6日付蘋果日報などが報じた。
陳菊市長は6日午前、事故現場に赴いて最後に殉職が判明した2人の消防局員を弔った(6日=中央社)
爆発現場に輸送管を敷設していた李長栄化学工業(LCYケミカル、栄化)、台湾中油(CPC)、中国石油化学工業開発(CPDC、中石化)はいずれも市の決定を尊重すると表明した。事故原因の疑いが濃厚なLCYの4インチ輸送管はかつてCPCと共同で取り付けている。被災地を通る両社の輸送管ルートは、高雄港から興仁路、中山四路、凱旋路、三多一路、中山西路、青年路、鳳仁路を経て仁大工業区に達する約20キロメートルと推定されている。
同ルートが今後使用できなくなる影響についてCPDC幹部は、「1週間当たり600トンの生産能力に響くが、輸送管の振り分けをCPCと協議する他、タンクローリーを増派して対応する」と話した。CPCは、同ルートの8インチ輸送管はエチレンが不足して輸入が必要な際にのみ使っており、当面はエチレン増産で対応すると説明した。
一方、LCYは同ルートが1カ月閉鎖すれば売上高は4億6,000万台湾元(約15億7,000万円)減少するとしつつも、「現在は経営問題よりも、事故の真相究明と被災者支援が先決だ」と表明した。
事件に抗議する市民がLCY大社工場に押し掛け、謝罪を要求した(6日=中央社)
川下調達に懸念なし
経済部は台湾石化産業全体への影響は軽微とみている。同措置によりCPDCとLCYが減産したとしても、台塑集団(台湾プラスチックグループ)が正常に操業しているため、台聚集団(USIグループ)、中国人造繊維(CMFC、中繊)、国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル、GPPC)など川下メーカーの石化原料調達に懸念はないと指摘した。
一方、CPDCの余建松副総経理は、今後高雄市が輸送管の地下敷設を禁止した場合、毎日計1,700トンのプロピレンを積んだタンクローリー延べ70台が市内を行き交うことになり、かえって危険性が高まると指摘した。スペイン・カタルーニャ州では1978年、タンクローリーに積んでいたプロピレンが爆発し、217人が死亡、200人以上がけがをしたロス・アルファケス大惨事が起きている。被災地の住民からも地下再敷設の禁止措置に歓迎の声が上がった一方で、代替案は慎重に検討すべきとの指摘も出た。
陳金徳・高雄市環境保護局長は5日、今後、石化業者に工場外の輸送管の位置、長さ、輸送物質と数量などの報告を義務付け、工場の操業許可などの条件に加える考えを示した。また、点検状況の定期報告も求める方針だ。
LCY、4日間操業停止に
LCYは6日から9日までの4日間、大社工場の操業停止を決めた。同社は従業員が爆発事故の犠牲者の葬儀に参加するためと説明したが、操業を続けていたことへの批判に配慮したものとみられており、さらに長引く可能性もある。4日間の操業停止による損失額は約1億3,900万元との見積もりだが、同社のポリプロピレン製品は価格の高い特殊用途品が多いため、証券会社は損失額は想定を大きく上回ると予想している。
なお、爆発事件の死者数は5日、行方不明となっていた2人の消防局員が死者として計算されるようになったことにより30人に増加した。
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