ニュース 石油・化学 作成日:2014年8月7日_記事番号:T00051999
高雄市の大規模爆発事故を契機に石油化学大手メーカーの海外移転が加速しそうだ。経済部は従来より高付加価値化政策を進めており、中国政府は台湾企業の誘致に前向きだ。主要石化プラント8カ所の昨年の生産額は1兆9,000億台湾元(約6兆5,000億円)で域内総生産(GDP)の13%を占め、就業人口は4万人に上る。石化産業の海外流出が進んだ場合、台湾の経済成長への大きな悪影響が予想される。7日付蘋果日報などが報じた。
輸送管の使用停止で、LCYのポリプロピレン(PP)生産能力は37%減少した(7日=中央社)
先月31日深夜から1日にかけての連続爆発事故は、高雄市内の地下に埋設された李長栄化学工業(LCYケミカル、栄化)向け輸送管からプロピレンが漏れたことが原因とみられており、陳菊市長は5日、被害の出た地域で石化製品輸送管の使用と再敷設を禁じると表明した。
これに対し中華民国全国商業総会(商総)の前理事長、張平沼・燿華電子(ユニテック・プリンテッド・サーキット・ボード)総裁は6日、輸送管を使わなければ産業界は打撃を受けると指摘。政府に対し、まずは安全を確保する方法を探り、石化産業の専用区を設置するよう呼び掛けた。また、今年のGDP成長率は3%が確実だったはずが、高雄爆発事故で不透明になったとの見方を示した。
経済部関係者によると、高雄市政府は以前より埋め立て地に石化専用区を設けて集中管理する計画を立てているものの、実現するかは環境影響評価や周辺住民の反応次第だ。台湾中油(CPC)傘下の国光石化科技(KPTC)は、長年にわたり台湾での石化プラント建設が認められなかった。また、張家祝経済部長は1日、台湾の石化政策は「質は台湾内にとどめ、量は海外に求める」ことが既定路線だと語っている。
こうした背景から、和桐化学(HT)や、台湾聚合化学品(USI)、亜洲聚合(アジア・ポリマー)など石化企業数社が、中国の中国石油化工集団(シノペック)などと中台折半出資で福建省漳州市の古雷半島に進出する計画で、今年1月末に経済部投資審議委員会(投審会)より認可を受けている。李克強中国首相は7月末、台湾石化企業の誘致に向けて、さらに多くの優遇措置を打ち出すよう漳州市に指示した。関係者は、11月開催予定の中台企業家が集う紫金山サミットで進展が見られると予測した。
台プラ、受注シフトで一人勝ち
経済部工業局によると、石化産業の工業区は南部に集中しており、高雄市に▽仁大工業区▽大社工業区▽大発工業区▽林園工業区──がある他、中部は▽雲林離島式基礎工業区▽頭份工業区(苗栗県)──、北部はCPCの桃園製油所、東部は宜蘭県の龍徳工業区と、全土に8カ所ある。雲林離島式基礎工業区の麦寮区は台塑集団(台湾プラスチックグループ)が第6ナフサ分解プラント(通称六軽)を運営し、年産額1兆1,000億~1兆2,000億元で、台湾石化産業の半分以上を占める。
アナリストは、LCY、中国石油化学工業開発(CPDC)、CPCの被災地の輸送管が使用できなくなれば、CPCからの調達をタンクローリー輸送に切り替えたとしてもコストが上昇するので、台聚集団(USIグループ)など中堅メーカーは今後2~3カ月、業績に打撃を受けると予測。一方、台プラグループ主要4社の▽台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)▽南亜塑膠工業(南亜プラスチックス)▽台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー)▽台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)──は、需要期の第3四半期に受注が増えて一人勝ちとなりそうだ。
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