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《高雄爆発事故》被災地復旧は年内に、急がれる冠水対策


ニュース 社会 作成日:2014年8月12日_記事番号:T00052080

《高雄爆発事故》被災地復旧は年内に、急がれる冠水対策

 高雄市の大規模爆発事故で損壊した被災地の復旧スケジュールについて呉宏謀副市長は11日、年内完了を目標に作業を進めるとの方針を示した。被災地は連日大雨のたびに冠水に見舞われており、市民の日常生活回復に向けて一刻も早い復旧が求められている。12日付自由時報などが報じた。


アーケードの近くまで水が迫った凱旋三路は、雨水の地盤への侵食が懸念されている(11日=中央社)

 復旧作業では今後8月末までに土止めや水止めのための鋼矢板を道路に埋め込み、10月19日までに箱型排水用管路のボックスカルバートを埋設、10月27日よりアスファルト舗装に着手し、11月20日に車両の通行を開放する。そして12月20日に道路の景観改善作業を終える予定だ。呉副市長は「困難なスケジュールだが、努力して必ず成し遂げる」と語気を強めた。

 爆発事故によって損壊した道路の総延長は4キロメートル、面積は7万5,000平方メートルに上っており、市工務局養護工程処と水利局では、全体を8区画に分けて復旧工事を進める。費用は中央政府の援助による16億台湾元と市拠出の3億元の計19億元(約65億円)だ。

 石化輸送管が爆発した三多路や凱旋路では下水溝も全壊状態で、雨水の排出ができなくなっている。呉副市長は、鋼矢板の埋め込みが終われば排水機能を回復させることができるが、それまでは排水機を使って雨水を排出するしかないと説明した。

1カ月以内申告、業者に厳命

 高雄市は11日、同様の事故防止に向けて市内の石化輸送管の実態を早期に把握すべく、市内で操業する石油化学・ガス業者42社を集めて、使用している輸送管を1カ月以内に申告するよう求めた。申告が期日までに行われない場合、工場の新設、操業許可の延長を拒否し、水道と電気の供給を止め、操業停止を求めるという強い姿勢を打ち出した。

 また、台湾中油(CPC)は対しては、同社が過去に川下石化業者の輸送管の90%以上の建設を請け負っていることから、当時の資料の提出も求めた。

 一方、杜紫軍・次期経済部長は同日、3カ月以内に高雄市の石化輸送管の精査を終えるとの見通しを示した。手始めに14日に沈栄津次長が専門家らと高雄入りし、2日がかりでCPCの輸送管をチェックする。

 杜・次期経済部長は、安全検査を進めた後は、設備更新やルート変更、さらには高雄市北部の石化工業団地の場所を変更するか否かなどの議論を行うことが考えられると説明した。

タンクローリー事故、運転手死亡

 高雄市林園区で11日午後11時41分ごろ、タンクローリーとCPC石化事業部の従業員を乗せた大型バスが衝突し、タンクローリーの運転手の男性(53)が死亡、バスの18人が重軽傷を負った。事故当時、現場は大雨で視界が悪かった。CPC従業員らは集団で退勤する途中だった。


林園区の事故現場。タンクローリーの運転手は居眠りをしていた疑いも指摘されている(11日=中央社)

 タンクローリーは、石化メーカーに積み荷のクロロエチレンを受け取りに行く途中で、何も積んでいなかった。クロロエチレンは極めて可燃性が高く、積んでいた場合は大きな事故になっていた可能性もある。

 高雄市ではプロピレンの大規模爆発事故で凱旋路などを通る輸送管ルートが遮断されたため、タンクローリーの使用が増えているとみられる。先日、陳菊市長が輸送管の事故現場への再敷設を禁じる方針を打ち出した際、張家祝経済部長がタンクローリーの利用が増えてかえって危険と反対したが、死亡事故はそうした懸念を裏打ちする形となった。