ニュース 石油・化学 作成日:2014年8月15日_記事番号:T00052159
死者30人に達した高雄市の大規模爆発事故を受けて経済部は、石油化学専用工業区を高雄港に設けて、市内の関連企業を集中させる計画の推進に本腰を入れる。内陸部に分散する大社、仁武、大発の各工業区の石化メーカーが移転すれば、周辺地域の安全性が改善する上、市中心部地下に石化輸送管が敷設されている問題の解決にもつながる。同計画は、近く開催が見込まれる江宜樺行政院長と陳菊高雄市長との会談で協議が行われる見通しだ。15日付聯合報などが報じた。

経済部は15日、林園石化工業区から大社などへのCPCの石化輸送管の検査に着手した。石化専用区計画では、安全性確立と産業発展の両立が求められている(15日=中央社)
聯合報によると石化専用工業区は面積400ヘクタール余りで、高雄港洲際コンテナセンター第2期区画の西側の余剰地と、新たに外海側に建設する埋立地を合わせて使用する。400ヘクタールあれば、各工業区の公営・民間石化業者の移転には十分との判断だ。投資額は少なくとも500億台湾元(約1,700億円)を見込む。一方、同日付中国時報は、洲際コンテナセンター第2期区画の南側の南星計画区が候補地だと報じた。
杜紫軍経済部長は、大社・仁武の石化川中川下メーカーを1カ所に集めて製品の高付加価値に取り組ませたいとの考えを示しつつ、石化専用工業区の建設に向けては、高雄市政府から具体的な位置や土地利用計画の提出を受ける必要があり、5〜10年の中長期計画に属すると語った。
地元里長「絶対反対」
石化メーカーを集中的に管理でき、生産効率が改善、リスクを低下できる専用工業区は、同産業にとって必ず通らねばならない道に見えるが、実現に向けては高雄市の意向と周辺住民の理解、および環境アセスメントが関門となる。このうち高雄市については、市街地で爆発事故を2度と起こさせないことが絶対目標となっているため同意を得やすいとみられるが、南星計画区が候補地となり市の利用計画と衝突した場合は調整に時間がかかる恐れがある。
より問題なのは住民意向と環境アセスメントだ。高雄港洲際コンテナセンター第2期区画と南星計画区のある土地は、高雄港南部で陸地から北西方向に伸びた半島状になっており、付け根の部分は住民が居住している。その小港区鳳興里と龍鳳里の里長は「今ですら387棟の工場によって住民生活が危険にさらされているのに、完全に包囲されてしまう」などとして「絶対反対」を叫んでいる。
また、環境アセスメントでクリアできない懸念も現実にある。台湾中油(CPC)傘下の国光石化科技(KPTC)は、雲林県離島工業区での大型石化プラント建設計画が環境影響評価で5年間足止めされ、彰化県大城郷に候補地を移したもののここでも環境評価がネックとなり、結局2011年に馬英九総統が建設見送りを決断したことはまだ記憶に新しい。
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