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選挙戦ののぼり乱立、台北市が禁止


ニュース 社会 作成日:2014年8月28日_記事番号:T00052376

選挙戦ののぼり乱立、台北市が禁止

 下半期最大の政治イベント、統一地方選挙が3カ月後に迫ってきたが、台湾の選挙では毎回、候補者名を大書した大量ののぼりが街中に乱立し、お祭りムードを盛り上げてきた。しかし、このおなじみの光景が台北市では見られなくなることになった。


「のぼりの海」はもう見られない。台湾選挙文化にとって大きな変化で、少々寂しい気もする(中央社)

 台北市議会は27日「台北市競選広告物管理自治条例」を可決し、今後選挙の際に道路や橋、公園など市内の公共スペースにのぼりや旗、横断幕を掲げることが禁止された。大量ののぼりは資源の無駄遣いで、市の景観を損ね、撤去にも手間がかかると以前から批判を浴びていた。条例の発起人である欧陽龍市議(国民党)市議会議員は「台北にとって大きな一歩だ」と意義を語った。

 また、林婕麗市議(新党)によると、従来選挙戦のたびにのぼり1万本を用意しており、1本100台湾元として100万元の費用がかかっていたという。初めて立候補した際にのぼりを使わなかった許淑華市議(民進党)は、対立候補から「選挙に参加していない」と攻撃されたことがある。「公平な選挙に近づく」と2人とものぼり禁止には賛成だ。市長選候補者では、政策中心の選挙戦を訴える柯文哲候補(無所属)はもちろん、国民党の連勝文候補も賛成している。

 市民からも歓迎の声が上がっている。中山区に住む張さん(女性)は、かつて風の強い日に地面に倒れたのぼりに足を取られて転んだことがあり、のぼりを嫌っている。「やっと旧弊が破られる。街頭の乱れを正してこそ、台北は世界的都市に肩を並べることができる」と喜んだ。

 台湾の選挙風景は、民主化が実現した1990年代から2000年代前半にかけては毎度熱狂的な盛り上がりを見せたが、近年は「統一・独立論争」の訴求力が落ちたこと、また有権者が選挙慣れしたことで雰囲気が落ち着いてきている。台北市がのぼり乱立を禁じたのも、こうした時代の変化を受けてのこととみられる。