ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

最低賃金2万元台、3.8%引き上げへ


ニュース その他分野 作成日:2014年9月1日_記事番号:T00052455

最低賃金2万元台、3.8%引き上げへ

 労働部は29日、基本工資(最低賃金)審議委員会を開き、最低月給を現行の1万9,273台湾元から2万8元(約6万9,800円)へ3.81%引き上げ、最低時給は115元から120元へと4.35%引き上げること決めた。行政院の承認を経て来年7月からの実施を目指す。実現すれば2011年以降5年連続の引き上げで、統一地方選挙を3カ月後に控える中で有権者に初の2万元の大台を提示したのは、政府の努力を印象付ける政治的効果も計算されているとみられる。30日付経済日報などが報じた。


最低賃金引き上げを発表する陳労働部長。3.8%は昨今の物価上昇に見合った数字と言えるだろう(29日=中央社)

 労働部によると、最低賃金の引き上げにより約232万人の労働者が恩恵を受ける一方、企業は約118億元の負担増になる。特にアルバイトの多いコンビニエンスストアチェーン大手4社は人件費が8億〜10億元増加する見通しで、ドリンクスタンドなど中小型フランチャイズチェーン業者からは「来年、人件費上昇分を商品価格に上乗せする可能性もある」との見方が示された。

 最低賃金の引き上げが行われた場合、全民健康保険の最低保険料も同時に引き上げられる。衛生福利部社会保険司では、来年最低賃金が2万8元に上昇した場合、企業側は7億元以上、労働者側は3億元以上保険料負担が増加するとの見方を示した。

工総、理解示す

 労働部の2万8元案に対して、中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の許勝雄理事長は、「上昇幅は今年の経済成長率予測値である3.45%を上回っているものの、2万元を上回らせたいという各界の希望、および経済成長の成果を労働者と共有する理念の下、受け入れることができる」と述べ、理解を示した。

 一方、労働団体は2万3,000元への引き上げを期待していたとして失望感を表明。労働団体、台湾労工陣線の孫友聯秘書長は「最低月給の1日当たり上げ幅は25元にも満たず、蛋餅(台湾風卵焼き)1枚すら買えない」と述べ、今回の引き上げは実質的意義が薄いと批判した。

 労働団体側は当初審議委員会の席で2万3,000元台を提案したものの、産業団体側から相手にされなかったため、引き上げ幅を「4%」まで譲歩した。一方、産業団体側も「3%」まで歩みよったことから、陳文雄労働部長が中間値の3.5%を提案し、産業団体側にさらなる歩み寄りを求めて了解を得られたことから結局3.81%に落ち着いたという。

審議会、四半期開催に

 陳労働部長はまた、従来毎年第3四半期に開催してきた最低賃金審議委員会を、今後四半期ごとに頻度を変更し、労使、委員、専門家、学者を交えたプロジェクトグループ(専案小組)を立ち上げ、意見交換を行うと表明した。ただ、今回決まった新たな最低賃金は、今後1年間は変更しないとした。 

【図】