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ウエアラブル来年出荷倍増へ、iWatchが起爆剤


ニュース 電子 作成日:2014年9月3日_記事番号:T00052506

ウエアラブル来年出荷倍増へ、iWatchが起爆剤

 来年のウエアラブル(装着型)端末の世界出荷台数は4,700万台へと今年の2,300万台から倍増し、生産額は68億米ドルへと約8割成長するとの見通しが2日、工業技術研究院(工研院、ITRI)から示された。アップルの腕時計型ウエアラブル端末「iWatch」などの発売によってブームに火が付き、一気に成長が加速するとの予想だ。台湾サプライチェーンでは、IC設計最大手の聯発科技(メディアテック)に商機が見込まれている。3日付工商時報などが報じた。

 ウエアラブル端末市場にはアップルの他、グーグルやサムスン電子、LGエレクトロニクスなど世界の大手ハイテク企業が参入している他、台湾では宏碁(エイサー)や宏達国際電子(HTC)も年内に初の製品発売を計画する有望市場だ。これら大手企業に加え、米シリコンバレーなどのベンチャー企業も相次いで眼鏡型、腕時計型、スマート衣料、運動中の生体情報計測機器などを投入する予定で、ウエアラブル端末市場は飛躍的な成長が予想される。

 ただ、工研院産業経済趨勢研究センター(IEK)によると、16年には出荷台数7,400万台(前年比57.4%増)、生産額97億米ドル(同42.6%増)となるが、成長率はそれぞれ前年比でほぼ半分に縮小する見通しだ。参入企業が増えることに加え、ウエアラブル端末は他社との差別化が困難で、値下げ競争が激しくなるためだ。

 出荷台数は17年に1億700万台(前年比44.6%増)と初めて1億台を超え、生産額は115億米ドル(18.6%増)と100億米ドルの大台を突破する見通し。依然2桁成長が続くものの成長率はさらに縮小する。IEKは16〜17年にウエアラブル端末市場で初めての淘汰(とうた)・再編が始まるとみている。

 18年には市場の再編が一段落し、健全化が進むと予想。同年の出荷台数は1億4,600万台(前年比36.4%増)、生産額は141億米ドル(22.6%増)となり、生産額の成長率は前年を上回るとみている。

業界再編は買収チャンス

 IEK電子・システム研究組の楊瑞臨副組長は、ウエアラブル端末市場の発展でメディアテックがビジネスチャンスを得ると指摘した。同社は現在、グーグルのウエアラブル端末向けOS(基本ソフト)「アンドロイド・ウエア」搭載製品のプロセッサ市場で米クアルコムにリードを許しているものの、世界最小のシステム・オン・チップ(SoC)「Aster(アスター)」を組み込んだプラットフォーム「LinkIt」を開発し、ベンチャー企業のウエアラブル端末市場進出を後押しするなど実力は十分ある。市場再編が始まればメディアテックにとって有望企業を買収するチャンスとなり、優位な立場を確保すると予想した。 

【図】