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池上米おいしさの秘密、揺れる大地?


ニュース 社会 作成日:2014年9月11日_記事番号:T00052615

池上米おいしさの秘密、揺れる大地?

 台湾有数の米の名産地として知られる台東県池上郷には、世界で最も活動が活発とされる活断層「池上断層」が走っているが、頻繁に起きている小規模な地震が同地でおいしい米ができる大きな要因となっているとの説がこのほど専門家より示された。

 中央大学・応用地質研究所の朱傚祖教授によると、池上郷では毎日のように小さな地震が繰り返されており、これが地中深くに眠るミネラル成分を掘り起こす効果をもたらしているという。

 このほか中央大学・宇宙遠隔探査研究センターの張中白教授は、池上郷周辺の地層にはかつて同地が海だった時代の海底の泥が含まれ、これが天然の肥料の役割を果たしている他、活断層が土地を押し上げたため、同地は海抜が周囲に比べ100メートルほど高くなっており、昼と夜で気温の差が激しいことが日本のコシヒカリのような香りと食感の良さを生み出していると指摘している。

 実際、現地農会(農協)の黄栄欄秘書によると、池上郷では海抜が300メートル近くある他、東西を山に挟まれているため、日中は気温が高くなるものの日照時間が短く、さらに夜になると山間部からの冷たい空気が流れ込み、一気に気温が低下するそうだ。そしてそのことが稲の熟成を促し、品質を高める効果を生んでいるという。

 また黄秘書は、同地の土地が豊富なミネラルを含んでいること、粘土質の土であることも稲の生育に適しており、いずれも池上郷が米の名産地となるために欠かせない要素となっていると説明した。その上で、「農家の技術が優れていることがおいしい米ができる一番の理由だ」と強調した。

 なお中央大学の張教授は「池上断層は毎年約2センチメートルのずれを記録しているが、このずれが小さくなった場合、注意が必要」と指摘している。これは断層にエネルギーが蓄積していることを示し、大規模な地震を引き起こす可能性があるという。

 できればおいしい米作りを手助けする程度の揺れをいつまでも続けてほしいものだ。