ニュース 社会 作成日:2014年9月15日_記事番号:T00052670
現在台湾社会をにぎわせている廃油ラード事件は、ある男性による通報が発覚のきっかけだった。このほどメディアの取材を受けた男性によると、最初は当局に何度通報しても相手にされなかったそうで、2年をかけて独力で証拠を収集したという。
男性は屏東県に住む60歳で、5年ほど前、畑仕事で老後を過ごそうと退職して故郷で土地を購入した。帰郷して数カ月後、今回の事件で飲食店から廃油を回収し、「精製」していたとして逮捕された郭烈成容疑者(32)が男性の土地の近くに違法工場を設置。周囲に鼻を突くような刺激臭や腐敗臭が漂うようになったという。
さらに同工場の排水が近くの水田に流れ込み、稲が枯れてしまうという事態も生じたため、郭容疑者に「賠償しなければ通報する」と談判したところ、相手からは「誰が来ても怖くない。勝手にしろ」との言葉が返ってきたという。
男性は2011年、屏東県政府環境保護局(環保局)に通報した。しかし、環保局は現場を一度視察に訪れただけで、水質調査もせず目視だけで「こんなにきれいな水なら問題ない」と言って帰っていった。2年間で5度にわたり通報したものの相手にされなかったという。
そこで男性は、自ら証拠を収集しようと決意。自費でデジタルカメラを購入し、2年以上かけて写真を1,000枚以上撮影した他、昨年3月には工場が見える場所に監視モニターを設置し、郭容疑者の悪行を24時間録画した。
男性はその証拠を屏東県環保局に提出しても無視される恐れがあると考え、昨年11月に友人を通じて台中市警察局に通報した。屏東地方法院検察署、南部犯罪摘発センターに報告され、捜査が行われた結果、同工場が違法に廃油を加工・販売し、利益を得ているとの確証をつかみ、納入先である高雄市の食用油メーカー、強冠企業を含めた関連業者の一斉検挙につながった。
通報男性について当局は「彼がいなければ、台湾人は今も廃油ラードが使われていることを知らずに口にしていただろう」と称賛した。
ただ、男性の友人が今月6日、郭容疑者が逮捕される直前に、男性と間違えて暴力団らしき男らに誘拐されそうになるという事件が発生しており、通報への報復が懸念されている。
当の男性は「怖くないわけはない。最悪の事態も考えている」としつつ、「正しいことをすれば報われるはず」と語った。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722