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JFE、義聯ベトナム製鉄所への参画断念


ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2014年9月17日_記事番号:T00052744

JFE、義聯ベトナム製鉄所への参画断念

 JFEスチールは16日、義聯集団(Eユナイテッド・グループ)がベトナムで計画している一貫製鉄所「広聯大製鉄所」(クアンガイ省ズンクアット経済区)建設プロジェクトへの参画を断念したと発表した。アジア全体で鋼材が供給過剰に陥っており、十分な経済性が得られないことが主因だ。義聯は今後もプロジェクトを推進する方針だが、進展は遅く実現への道のりは平たんではなさそうだ。17日付工商時報が報じた。

 広聯大製鉄所の建設予定地はベトナム中部に位置し、粗鋼の年産能力が350万トンで早ければ16年の量産を目指しているとされる。投資額は36億米ドル。JFEは経済発展が進むベトナムでの鋼材需要増加、東南アジアへの輸出を狙い生産拠点を確保すべく、2012年3月、義聯傘下の燁輝企業(YP)、燁聯鋼鉄(YUSCO)と同製鉄所の事業性検証(Feasibility Study、FS)の実施で覚書(MOU)を結んでいた。

 義聯は同製鉄所の完成で、JFE同様東南アジア市場拡大、川上事業の発展とYPの熱延製品の安定した原料確保によるコスト低減を見込む。JFEの突然の参画断念に落胆の色を隠せないが、今後もベトナム政府と協議を続ける考えだ。

 義聯は中国広東省でもYUSCO傘下の聯衆広州不銹鋼の資金繰りが悪化し、経営権譲渡の危機にあるとされ、証券会社は鉄鋼事業の戦略見直しが迫られていると指摘した。

台プラに恩恵か

 一方、ベトナム・ハティン省に大型製鉄所を建設している台塑集団(台湾プラスチックグループ)は外資からの10%出資受け入れを目指しており、JFEによる出資説が浮上している。同製鉄所は反中暴動で一時工事がストップしたが既に再開し、来年末の火入れを予定するなど、義聯と違いスケジュールが明確な上、台プラグループが中国福建省に設立したステンレス鋼板一貫メーカー、福建福欣特殊鋼に対しJFEがステンレス鋼板の製造技術を供与するなど提携関係にあり、再度タッグを組むとの見方だ。ただ、ワイズニュースの取材に対しJFEは「そうした事実はない」と観測を否定した。

 JFEの出資が実現すれば台プラグループは、義聯にさらに差を付けることができる他、義聯が広聯大製鉄所の建設を断念する可能性もあり、ベトナム市場で最大の恩恵を受けるとみられている。

【表】