ニュース 社会 作成日:2014年10月24日_記事番号:T00053419
台湾の都市交通システム(MRT)駅近くや夜市(ナイトマーケット)などでは、車いすに乗った身体障害者が、道行く人々に少し割高な値段のガムやティッシュペーパーなどを買わないかと声をかける光景が見られる。こうした行為について、良からぬ組織が背後で障害者を操り、人の良心を利用して金を稼いでいるといったうわさもある。そんな中、聯合報の記者が密着取材を敢行し、実態を明らかにした。
記者は、新北市のMRT板橋駅周辺で商売をしていた1人の身障者に取材を申し込み、住んでいる「家」を訪問した。
板橋区内の路地裏にある「家」に着いてみると、そこは使われなくなった工場を改装し、壁で仕切って作った部屋15室のうちの1室だった。他の部屋の住人も全員が身障者で、同じく路上で商品を販売する仕事をしているという。
さらに取材を進めると、身障者たちは皆、「陳老板(ラオパン、社長)」と呼ばれる人物と知り合ったことをきっかけに、彼が用意した部屋に住み、彼が仕入れる商品を売るようになったそうだ。
具体的には陳老板が商品の仕入れやMRT駅、夜市などへの送迎を担当し、身障者はその日の仕事を終えると、売れ残った商品を「陳老板」に返し、売上高を折半する。送迎不要の場合は身障者の取り分は6割だ。
自身も身障者である陳老板によると、7年前に事業に失敗してこの商売を始めたそうで、当初は一人で商品を販売していたが、同業の知り合いと協力して仕事をするようになり、そのうちメンバーが増えて現在のような大所帯になったという。彼の1日の収入は約3万台湾元で、その半分を仕入れや、家賃、光熱費などに当てているそうだ。
彼らの商売に良くないうわさがあることについて陳老板は「誤解だ」と語り、「仕事を強制される者はおらず、互いに助け合いながら仲良く暮らしている」と強調。彼の下で働く身障者たちも、「家賃や光熱費は無料だし、在庫を抱えなくて済む。出勤時間も自由だから満足している」と不満はないようだ。
ただ報道を受けて調査を行った新北市政府労工局は、陳老板と他の身障者は雇用主と被雇用者の関係にあり、雇用主は労工保険(労働保険)加入など非雇用者が受けるべき保障を提供する義務があると指摘。しかし、同局は今後、陳老板を処罰したり、組織を解体するのではなく、合法的な「労働合作社」に転換すべく指導するとの方針を示した。
これに対し陳老板は「これで一人前に健康保険にも入ることができる」と歓迎。身障者たちも「変な誤解を受けずに済む」と喜びの声を上げている。
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