ニュース 社会 作成日:2014年10月27日_記事番号:T00053449
頂新国際集団が健康に害を及ぼす可能性のある食用油を製造、販売していた事件が全土を揺るがす中、台湾産の天然食用油、「苦茶油」が人気となり供給不足に陥っている。
苦茶油はツバキ属の植物、「苦茶樹」の実や種子から取ったいわゆるカメリア油の一種で、日本でいう椿油の仲間だ。
苦茶油を生産する苗栗県三義郷の農会(農協)ではかつて多くの農家が各自で生産して販売していたが、消費者から「混ぜ物」をしているのではないかとの問い合わせが多かったことから、農会がまとめて苦茶樹の実を買い取り、搾油から販売までを一括して手掛けているという。
苦茶樹の実、約4.5キログラムからは750ミリリットル(ml)の苦茶油が取れるが、同量の実の買取価格は800台湾元以上する上、搾油、包装、検査、販売のコストが掛かるため、500ml入り瓶1本当たりの販売価格は1,000元となっている。
決して安い商品とは言えないが、今年は既に5万トンを生産したものの供給が追い付かず、11月に再度搾油する予定で、販売量は昨年の2倍に増加する見通しだ。
また雲林県古坑郷の苦茶油農家によると、これまでは1台斤(約600グラム)当たり600元でも消費者から「高い」と不満が寄せられていたが、食用油事件を受けてここ1カ月余りで販売量が20〜30%増加したという。さらに南投県の産地では事件発生後、苦茶油600cc瓶1本当たり800元だった販売価格が1,500元まで2倍近くに上昇したにもかかわらず、売り切れが続出しているそうだ。
台湾では休耕地の拡大を受けて2010年から行政院農業委員会(農委会)が苦茶樹の栽培を奨励しており、現在、全土の作付面積は1,000ヘクタールほどとなっている。
ただ、南投県のある農家は、苦茶樹の実は1年に1度しか収穫できず、さらに災害被害に対する保障もない上、生産に手間がかかるため収益は短期間で収穫できる野菜類に及ばないと指摘。また今は価格が上がってはいるが、苦茶油の生産を手掛けようという意欲を持つ農家は多くないそうだ。
なお栄養士は、「いかなる油も取り過ぎは禁物」とした上で、苦茶油は胃潰瘍の抑制効果を持つ他、ビタミンEが豊富に含まれていることから抗酸化作用も備え、「東洋のオリーブオイル」とも呼べる健康的な食用油だと指摘している。
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