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統一、頂新に50億元賠償請求へ


ニュース 食品 作成日:2014年11月6日_記事番号:T00053683

統一、頂新に50億元賠償請求へ

 食品最大手、統一企業(ユニプレジデント)は5日、頂新国際集団の非食用油を自社の即席麺やおでんのだしに使っていたことが発覚したため損失を被り、名誉を傷つけられたとして、同グループに対し50億台湾元(約190億円)以上の損害賠償を求める訴訟を起こす方針を決めた。1週間以内に正式に提起する。統一が同じ食品大手の頂新グループを訴えるのは初めてで、同社が原料サプライヤーに求める賠償額としては過去最高となる。6日付工商時報などが報じた。

 統一の涂忠正・公関(広報)経理は、ベトナムのダイハインフック(大幸福)社から非食用ヘット(牛脂)を輸入し販売していた頂新製油実業(彰化県永靖郷)は今回の不正食用油事件を引き起こした元凶の一つであり、産業、消費者に損失、損害を与えたことは公然の事実だと指摘。統一は消費者の権益と自社の名誉を守るべく、頂新製油など関連企業に賠償を求めると語った。

 統一が訴訟で勝訴した場合、賠償金から同社が被った損失額や訴訟費用を差し引いて、残りを政府が設立した食安基金や消費者保護団体に全額寄付する方針だ。同社は非食用ヘットの使用が発覚した即席麺やおでんのだしの撤去、返金に伴う損失額だけで8億元以上と試算している。また、企業イメージへの打撃は算定できず、即席麺の売り上げが今後1年間回復しない懸念もあり、賠償請求額は100億元に達する可能性もあるようだ。

 統一が訴訟提起を決めたことについて頂新グループは、頂新製油の問題は既に司法手続きに入っており、賠償請求を行う各社、個人の法的権利を尊重するとコメントした。

発がん性のクロム検出

 一方、衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)は5日、頂新製油から採取したヘット、ラード(豚脂)の検査報告を正式発表し、基準値を超える重金属の鉛、銅の他、ヘットからは含有そのものを禁じるクロムが検出されたことが分かった。

 検査報告によると、ヘットからは▽鉛0.4ppm(基準値の4倍)▽銅0.47ppm、0.9ppm(同1.18、2.2倍)▽クロム0.08ppm──が、ラードからは▽鉛0.73ppm(同7.3倍)▽銅0.54ppm(同1.35倍)──が検出された。

 彰化地方法院検察署は、クロムは皮革用なめし剤に使われることから、ダイハインフックの台湾人経営者、楊振益被告がベトナムの業者から皮革の廃油を購入し、ヘットに混ぜて販売したと疑っているが、楊容疑者は否認しているという。

 専門家は、鉛の長期摂取は神経障害を招き、特に子どもの脳の発達に影響を与え、銅は肝臓障害を引き起こすと指摘。またクロムを含む油製品の長期摂取は軽い場合で気管支炎やぜんそくを、重い場合は肺がん、胃がんを引き起こす可能性もあるという。

 TFDAは頂新製油のヘット、ラードにダイオキシンが残留していないかどうかについても分析を進める。2週間後に結果が出る見通しだ。 

【表】